アール・デコの館を舞台に、時を超えて響き合う“鉄とガラス”

東京都庭園美術館で「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」が2024年11月30日(土)から2025年2月16日(日)まで開催中。本展は現代美術の第一線で活躍を続ける二人の作家、青木野枝と三嶋りつ惠の作品を、会場となる東京都庭園美術館の各所に配置し、新たな視点でアール・デコの装飾空間を照らし出す企画となっている。

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青木は鉄、三嶋はガラスという素材を使用し作品を制作するが、どちらもプロセスのなかに火を用い素材に生命を吹き込んできた。そのプリミティブな力を宿したフォルムは自然のもつエネルギーや循環を想起させる。また、どちらの素材も会場である旧朝香宮邸を彩る装飾として多用されている。本展のために二人は会場を幾度も訪れ、1930年代の装飾空間のために展示プランを練ったことにより、二人による大型インスタレーション作品が陰影に富んだ空間に広がり、時間ごとに絶えず変化する展示風景となった。

青木野枝

1958年東京都生まれ、埼玉県在住。1983年武蔵野美術大学大学院造形研究科(彫刻コース)修了。活動当初から一貫して、鉄を素材に抽象彫刻を生み出してきた彫刻家。工業用の鉄板を溶断して線や円を切り出し、そのパーツを展示空間やその場に合わせて巧みに繋ぎ合わせて作品化する。ガラスや石鹸など異なる素材を鉄と組み合わせた作品も発表。鉄という重い素材を用いながらも、その作品は軽やかな浮遊感を放ち、まるで空間の中に描かれたドローイングのようだと評される。自然の働きを想わせるタイトルを作品に付すことも多く、その場に現れるインスタレーションを通して、変化や増殖といった生命感を呼び覚ます風景を立ち上げる。都内では、日本生命浜松町クレアタワーの屋外などに彫刻作品を常設。

三嶋りつ惠

1962年京都府生まれ、1989年からヴェネツィアに移住。2011年より京都にも住まいを構え、イタリアと日本との二拠点生活を送る。千年にわたり、ガラスの伝統技術が受け継がれるヴェネツィア・ムラーノ島において、工房のガラス職人とのコラボレーションにより作品を制作。無色透明なガラスにこだわり、光の輪郭を描き出す有機的なフォルムの作品を生み出してきた。伝統ある古い建造物の中で作品を展示することも多く、置かれる空間の特性を意識したインスタレーションで評価が高い。都内では、COREDO室町テラスの吹き抜け空間などにガラス作品を常設。

「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」開催概要

会期2024年11月30日(土)~ 2025年2月16日(日)
時間10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
11月30日(土)、12月6日(金)・7日(土)は秋の夜間開館のため20:00まで開館
会場東京都庭園美術館(本館+新館)
休館日毎週月曜日および年末年始(12月28日-1月4日)は休館 ※ただし1月13日(月・祝)は開館、1月14日(火)は休館
料金一般1,400円/大学生(専修・各種専門学校含む)1,120円/中・高校生700円/65歳以上700円
URLhttps://tinyurl.com/mvr5xuu6