建築とデザインにおけるグローバルな創造性と革新性を称える
建築関連メディアのアーキテクチャー・ハンターが主催する「アーキテクチャー・ハンター・アワード(AHA)」が2024年度の受賞者を発表した。AHAは建築、インテリアデザイン、ランドスケープ・アーキテクチャーなどにおける優れた業績を顕彰している。今年度は創造性、持続可能性、目的にかなったデザインの最前線を代表するプロジェクトにスポットを当て、先見性のある作品が建築環境に与える影響にフォーカス。AHAは幅広いカテゴリーを設け、美的価値だけでなく、ユニークな機能性や環境への貢献でも際立ったプロジェクトを表彰することを目指している。
最優秀建築部門
建築部門では、さまざまな領域で卓越した模範となる多様な受賞者が見られた。その中で、ベルナルデス・アルキテトゥーラによる「Casa GAK」は、熟考された住宅デザインの美しさを表現した、住宅・邸宅カテゴリーの受賞作品である。オフィス建築カテゴリーでは、ザハ・ハディド・アーキテクツによるBeeah Headquartersがトップの栄誉に輝き、ダイナミックで革新的な設計理念に対する同社のコミットメントを示した。小規模建築カテゴリーでは、アースケープ・スタジオの「The Infinite Rise」が受賞。コンパクトなスペースが建築的に大きなインパクトを与える可能性を示した建築となっている。一方、高層建築カテゴリーを受賞したスパズム・デザインの「サルヴァスヴァ」は、そびえ立つフォルムと細部にまでこだわったディテールで注目を集めた。
商業建築カテゴリーでは、関口貴人建築設計事務所による「Toaru Hair Room」が、モダンなデザインと機能的なエレガンスを融合させ、際立っていた。ホスピタリティ&ホテル・カテゴリーでは、VMA Design StudioによるDouble B Hostelが、温かみのある魅力的な美しさを体現して受賞した。複合施設建築カテゴリーでは、Brenac & Gonzalez & AssociésのHigher Rochが受賞し、リノベーション・カテゴリーでは、Siqueira + Azul ArquiteturaのItaúna Houseがその革新的なアプローチを評価された。施設カテゴリーでは、ARQBR Arquitetura e UrbanismoのChurch of the Holy Familyが、精神性とデザインの考え抜かれた一体化が評価された。
インテリアデザイン部門
インテリアデザイン部門では、様々な環境の中でスタイルと機能性を見事に融合させた作品を顕彰している。ハウス・インテリアデザイン・カテゴリーで受賞したStudio MK27による「House on the Sand」は、海岸にインスパイアされたインテリアの美しさを反映している。ババヤンツ・アーキテクツによる「ババヤンツ・ベル・コーポ」は、現代的なレイアウトと洗練されたディテールが印象的な商業インテリアデザイン・カテゴリーで受賞。ホスピタリティ&ホテル・インテリアデザイン・カテゴリーで受賞したOmar Gandhi ArchitectsによるPrime Seafood Palaceは、素朴な魅力と洗練された雰囲気の融合が際立っている。エストゥディオ・グート・レケーナによる「テラス・アパートメント」は、そのフレッシュでモダンな美しさでアパートメント・インテリア・デザイン・カテゴリーを、カルロス・ロッシ・アルキテトゥーラによる「ル・クルーゼ」は、そのクリエイティブで機能的なワークスペースが評価され、オフィス・インテリア・デザイン・カテゴリーにおいて受賞した。
ランドスケープ・アーキテクチャー部門およびアンビルト(未完成)プロジェクト部門
HanazakiのDSFハウスが住宅ランドスケープ・アーキテクチャー部門で受賞し、住宅デザインに自然の要素を取り入れることの重要性を強調した。アンビルト・プロジェクト部門は、まだ実現されていない先見の明のあるアイデアを顕彰するもので、今年最も先進的なコンセプトのいくつかが紹介された。リナ・マリア・トリヴィーノによる「Aether」はアンビルト学生カテゴリーを受賞し、タレール・アルヴァラド・テレスによる「Ramia」はその刺激的なビジョンが評価されアンビルト建築カテゴリーで受賞した。ジュリア・ゲチコの「Intentos por São Paulo Minhocão」は、アンビルト・ランドスケープ・アーキテクチャー・カテゴリーで最優秀賞を受賞し、スタジオMK27の「Water Canal」は、その革新的で野心的な提案が評価され、アンビルト・インテリアデザイン・カテゴリーで受賞した。
イメージ部門およびビデオ部門
AHAでは、イメージ部門とビデオ部門において視覚的なストーリーテリングの力も評価。ウェリントン・フランザオの「Daxing PKX」がレンダー・カテゴリーを、ヴィナイ・パンジワニの「Jaisalmer School」が建築写真カテゴリーを、ヴァイバフ・パッシの「Living with Modernity」が芸術写真カテゴリーを受賞した。ビデオ部門では、9sekundenの「Texoversum」が建築ビデオ・カテゴリーを、Guá Arquiteturaの「Amazon Carpenters」が建築の背後にある職人技とストーリーに焦点を当てた短編ドキュメンタリー・カテゴリーにおいて受賞した。
サステナブル建築デザイン部門
持続可能性がコンテンポラリーデザインの中心テーマとなる中、AHAは、より持続可能な未来に貢献する革新的なソリューションを顕彰している。エストゥディオ・グート・レケーナのフラッグシップ「ドルチェ・グスト・ネオ」がサステナブル建築デザイン賞を受賞した。
入選作品
主な受賞作品に加え、いくつかのプロジェクトはその特徴的な資質を評価され入選を果たした。商業建築カテゴリーの「ソーラー・ツリーズ・マーケットプレイス」と「バフィ・レストランテ」、ホスピタリティ&ホテル・カテゴリーの「タラガ・サンピレン・バリ」、建築写真カテゴリーの「カクタス・タワーズ」などがそのハイライトとなっている。これらのプロジェクトの多様性は、創造性と目的に基づいたデザインの幅広さを物語っている。
審査員
ステファノ・ボエリ、ピエロ・リッソーニ、マルシオ・コーガン、マー・ヤンソンといった著名な審査員が名を連ねた。審査委員の多様性により、各受賞プロジェクトは、その卓越したデザインだけでなく、より広範な社会的、文化的、環境的インパクトも評価されることになった。
アーキテクチャー・ハンター
アーキテクチャー・ハンターは建築のインスピレーションと革新を後押しする世界的なプラットフォームとして、世界に広がる300万人以上のオーディエンスのために最高の建築をキュレーションしている。このAHA第1回大会は、建築コミュニティ内で有意義なつながりを育み、重要なインパクトを与えるプロジェクトを高めるというアーキテクチャー・ハンターの使命を体現している。