ザハ・ハディッド アルド・ロッシも認めたデベロッパー葛和満博 「店舗銀行」の事業史を書籍化

世界的建築家たちと協働し、日本の都市空間やナイトカルチャーに大きな足跡を残したジャスマック創業者葛和満博の半生を描く書籍『完全版 ドキュメンタリー「店舗銀行」 葛和満博 ―― 全仕事』が、ダイヤモンド・ビジネス企画から2026年5月1日に全国書店で発売された。本書は、2020年刊行の『ドキュメンタリー「店舗銀行」葛和満博―全仕事』に最新事例や新情報を加えた完全版。著者は編集者・岡田晴彦。葛和が築き上げた独自の不動産システム「店舗銀行」と、その背景にある都市開発、建築、デザインへの思想を多角的に掘り下げる。

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「完全版 ドキュメンタリー『店舗銀行』」書影

世界的建築家から信頼を集めた伝説のデベロッパー

葛和満博は、アルド・ロッシ、ザハ・ハディッド、ナイジェル・コーツら世界的建築家と協働し、福岡、札幌、門司、小樽など各地でホテルや商業施設を展開してきた人物として知られる。福岡の〈ホテル イル・パラッツォ〉では、イタリア建築界の巨匠アルド・ロッシを起用。ロッシの招聘を提案したのは、インテリアデザイナー・内田繁だったという。また、札幌・すすきのの〈ノアの箱舟〉を手掛けたナイジェル・コーツを紹介したのは、空間プロデューサーのシー・ユー・チェンだった。世界的クリエイターたちが葛和のもとに集った背景には、彼が単なる事業家ではなく、デザインの価値を深く理解し、設計者たちと対等に議論できる稀有なパートナーだったことがある。

「店舗銀行」という独自システム

葛和が生涯をかけて取り組んだのが、独自の不動産貸出システム「店舗銀行」の構築だった。このシステムは、飲食店経営者が初期投資の負担を抑えながら出店できる仕組みとして発展し、これまでに3,000店舗以上の経営を支援してきたという。本書では、戦後の東京で事業を始めた葛和が、飲食店経営からスタートし、どのように「店舗銀行システム」に辿り着いたのかを描写。さらに福岡、札幌、長崎など各都市で展開されたプロジェクトを通して、日本独自の都市開発と商業空間のあり方を振り返る。

デザインと都市文化の裏側を支えた存在

葛和は設計者でもデザイナーでもなく、その名前が前面に出ることは少なかった。しかし、数多くの建築家やデザイナーたちから深い信頼を集め、都市文化の裏側を支え続けた存在だった。本書は、表舞台には現れにくかった“フィクサー”としての葛和の姿を通して、建築、街づくり、商業空間、クリエイティブ産業の関係性を浮かび上がらせる内容となっている。

コロナ禍を経て問い直される「商い」の未来

完全版では、コロナ禍によって大きな打撃を受けた飲食業界を背景に、94歳となった葛和自身の歩みと事業の社会的意義を改めて問い直している。都市と商業、デザインと経営、建築と文化。その接点を追い続けてきた一人の事業家の軌跡は、現代の都市開発や場づくりを考える上でも示唆に富む内容となっている。

『完全版 ドキュメンタリー「店舗銀行」 葛和満博 ―― 全仕事』書籍情報

発売2026年5月1日
定価1,600円(税別)
URLhttps://tinyurl.com/mu64yw26