岡本太郎美術館にて企画展「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」を開催
川崎市岡本太郎美術館では、戦後日本のデザイン運動の先駆けとして、国際交流やデザインの啓蒙を目的に創立された「国際デザインコミッティー」(現・日本デザインコミッティー)の活動を振り返る企画展「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」を2021年10月23日(土)から2022年1月16日(日)まで開催する。
戦後の復興からまもない1950年代の東京。ようやく人々の暮らしの中に、家具や道具のデザインへの意識が少しずつ広がりはじめる時期に、「国際デザインコミッティー」は創立された。1953年、「第10回ミラノ・トリエンナーレ」への参加要請に応えるべく集ったのが、建築家の丹下健三や吉阪隆正、清家清、デザイナーの剣持勇、柳宗理、渡辺力、亀倉雄策、評論家の勝見勝、浜口隆一、瀧口修造、写真家の石元泰博、そして画家の岡本太郎だった。顧問には、坂倉準三、前川國男、シャルロット・ペリアンが名を連ね、時代をリードする多彩なジャンルの人々が顔を揃えた。
「ミラノ・トリエンナーレ」への参加は、次の第11回展(1957年)に実現するが、むしろ彼らの活動の軸となっていったのは、東京銀座の百貨店「松屋」の一画に設けられた売場に置くための商品選定と、併設の「デザインギャラリー」や催事場で行われた展覧会を通じたデザインの啓蒙だった。通商産業省のGマーク「グッドデザイン商品選定制度」(1957年)に先んじて、百貨店という身近な舞台で始められたグッドデザイン運動は、ひろく人々の間に定着し、「日本デザインコミッティー」と改称された現在もなお、活発な活動が展開されている。
本展では、「デザインコミッティー」の活動と創立メンバーらの交流に焦点を当てるとともに、そこから生まれたコラボレーションにも注目する。柳宗理《バタフライスツール》や森正洋《G型しょうゆさし》といった時代を代表するプロダクトとの繋がり、そして旧東京都庁舎(1957年)、香川県庁舎(1958年)、世界デザイン会議(1960年)、東京オリンピック(1964年)での協同。彼らが闊達な交流のなかで切り拓いた仕事の広がりと、デザイン・建築・美術など多領域を軽々と横断していく自由さは、転換期となる今の時代を突破する糸口になるかもしれない。
みどころ
- 通商産業省の「Gマーク」制度(1957年)にさきがけて始められた、知られざる、戦後日本のデザイン運動の原点ともいうべき活動を紐解く。
- 日本のミッドセンチュリーを代表するプロダクトデザインと、「デザインコミッティー」との関わりをエピソードとともに紹介。
- 個性ゆたかな創立メンバーの顔ぶれとその交流に注目し、そこから派生した同時代のデザインや建築の動きのなかで、「デザインコミッティー」が果たした「サロン」としての役割にも注目する。
企画展「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」開催概要
会場 | 川崎市岡本太郎美術館 企画展示室 |
会期 | 2021年10月23日(土)~2022年1月16日(日) |
開館時間 | 9:30~17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日(1月10日を除く)、11月4日(木)、11月24日(水)、12月29日(水)~1月3日(月)、1月11日(火) |
観覧料 | 一般1,000円、高・大学生・65歳以上800円、中学生以下 無料(別途団体料金あり) |