Ambientecが、デザイナー吉添裕人がデザインしたアンビエント照明「hymn」を製品化
日本の照明ブランドAmbientec(アンビエンテック)より、キャンドルの火にインスピレーションを受けたデザインのアンビエント照明「hymn」が発売された。伝統的な燭台から発せられる火の明かりを現代風に再解釈したhymnは、「火」の存在に魅せられたデザイナー 吉添裕人とアンビエンテックの技術がコラボレーションすることで完成した。
火の利用によって人間の文明は急速に進化を遂げました。その周りには人々が集い、祈り、食べ、語らい、太古から積み重なった磁場が存在するような気がします。火を見つめ直すこと、光を見つめ直すことは人の営みを見つめ直すことと同義だと思うのです。
hymnはその「火」という原始的な光をコンセプトに吉添裕人がデザインしたプロトタイプ作品として、2019年にイタリア・ミラノで発表された。このプロトタイプの光のゆらぎに魅了されたアンビエンテックのCEO 久野 義憲は、その後2年の開発期間を経てこのたびの製品化にこぎつけた。プロトタイプより引き継がれた、レンズの仕組みと光学に基づいた特殊な形状で制作されたアクリルパーツ。下部より光を投射すると屈折の効果によって、このアクリルパーツの上部先端に光が浮かび上がる仕組みだ。その部材は繊細なアームによってバランスをとりながら立ち上がり、磁力というアナログ的でありながら、見えない力量を受けて繊細で不規則性を持った変容する光のテクスチャーを作りだす。
そのアクリルパーツを支える全体像は火を灯す伝統的な器具にインスピレーションを受けている。火を持ち運ぶことを可能とした様々な器具は、火と人間との自由な関係性を築いてきた。hymnの幾何学的なフォルムは、私たちの生活空間に寄り添う柔らかなラインと削ぎ落としたエッジあるディテールで構成され、アンビエンテックが持つ技術力によって実現している。光と人間の暮らしの関係性から生まれてきた様々な器具たちは火そのものを良く知るヒントとなった。
キャンドルのような2000Kの柔らかい温かな色は、hymnの世界観には必要不可欠な要素である。また、揺らぎある光はペンドュラムレンズの動きによって生み出されているが、点灯時、消灯時における特徴的なLEDの光の動きが組まれていることもポイント。点灯時は火が灯るように強く輝いた後に光量が落ち着き、その後は好みによって一段階強い光量を選択することもできる。さらに消灯時には火を吹き消すように瞬きながら消えていき、光と触れ合う楽しさを遊び心を持って表現している。
そしてあらゆる方向からの強い水流にも耐えられるIP66相当の防水性能を備えているので、バスルームや屋外での利用も安心。ドーム型のガラスシェードが、通常の火では実現できない形状を採用している点もhymnらしさのひとつとなっている。
吉添 裕人 プロフィール
武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科卒業。京都芸術大学非常勤講師。乃村工藝社にてデザイン職を経験した後、独立。空間デザイナーとしてホテルやレストラン等のアートワークや特殊造作、特注建築建材の原図提供等、商業空間の特徴的な構成要素のデザイン・設計を担っている。また、都市開発計画や大型ショッピングモール等の長期プロジェクトに対して基本構想や動線計画等のプランニング業務も行っており、デザインフェーズとは異なる領域でも活動。独立後に携わったプロジェクト数は250を超える。また、近年では、メーカーやファッションブランドとのコラボレーションをはじめ、クライアントワークとは異なる個人制作を行っており、その作品は国際的なコンペティションであるLEXUS DESIGN AWARDS 2016にてTOP12、2017年にはグランプリを受賞。2018年にはアメリカの建築誌dwellが選ぶ、世界の注目若手デザイナーdwell24に選出されている。過去5年間で日本、イタリア、アメリカ、ブラジル等、各国で作品を制作している他、2020年には中国上海で大型のインスタレーション作品を発表している。
アンビエンテックについて
アンビエンテックは、照明器具のデザイン、製作、販売を行う会社として2009年に設立。CEOの久野 義憲が1999年に設立した、開発母体となるエーオーアイ・ジャパンにて、水中撮影機材の設計開発、商品供給を行い、今日もプロスペックを維持する水中ライトブランド「RGBlue/アールジーブルー」を開発。アンビエンテックは、アウトドア、浴室、住居、そしてカフェスペースまで、あらゆる日常空間を灯す照明に事業を展開すべく、立ち上げられた。頑強な素材を活かす精巧な技術により作られた同社の防水仕様の充電式ポータブル照明は、スタイルと耐久性の両方を兼ね備えた逸品だ。