都市と自然に潜む逃避のリズムを紙に刻む
tHE GALLERY OMOTESANDOで切り絵アーティストJR CHUOによる個展「System of Escape」が2025年11月7日から11月30日(日)まで開催される。本展は、キュレーター米原康正の企画により実現したもので、サンゴ礁の構造や都市のリズムをモチーフに、人間と自然が作り出す「逃避のシステム」に焦点を当てている。
JR CHUOはイギリスとポルトガルをバックグラウンドに持ち、ロンドンと東京を拠点に活動するアーティスト。日本の伝統的な「伊勢型紙」に影響を受け、繊細な紙に数千にも及ぶ切り込みを加えることで、複雑で緻密な構造体を創出している。本展では温暖化する海から逃れるサンゴ、地下に避難する富裕層、都市を走る地下鉄といったイメージを通して、制御された逃避のパターンとその内にある静かな抵抗を描き出す。切り込みは呼吸であり、パターンは生存のかたちである。反復の中に生まれる秩序と崩壊、束縛と解放のせめぎあいに着目し、作品はシステムそのものが「自由」を夢見る瞬間を捉えている。
JR CHUO プロフィール
2002年イギリス生まれ。2023年に文部科学省奨学生として慶應義塾大学に留学、2024年にケンブリッジ大学アジア・中東研究学部日本学科を卒業。 伝統的な伊勢型紙に着想を得た独自の切り絵技法で注目を集め、BBC、NHK、DWなどの国際メディアに紹介される。Forbes「30 Under 30 Europe 2022」に最年少で選出。近年は自然と都市のシステムをテーマに創作活動を続け、作品の一部はサンゴ再生支援のため環境NGO「Coralive」へ寄付されている。
キュレーター 米原康正より
JR CHUOは繊細な紙の線によって社会の仮面や構造を切り出すアーティストである。京都で出会った伊勢型紙をきっかけに切り絵を始め、現在では都市の路線図のように秩序立った構造と、蛍光を放つサンゴのような生命感を併せ持つ作品を発表している。その作品は、静かで力強い「紙の祈り」として、世界各地の空間に導入されている。
JR CHUO 個展「System of Escape」開催概要
| 会期 | 2025年11月7日(金)から11月30日(日)まで |
| 時間 | 12:00〜19:00 |
| 会場 | tHE GALLERY OMOTESANDO |
| URL | https://tinyurl.com/3sjhb9h7 |

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