自由で公正な社会を求める進歩的な運動に適した気候条件を永続させる
ソウルの中心部にあるソウル近代現代美術館の依頼によるプロジェクト「永久の春」が、建築のさまざまな分野の国際的なデザインを表彰するアーキテクチャー・マスタープライズ™ (AMP)を受賞した。オブラ・アーキテクツが設計した「永久の春」は、展示部門と公共空間部門で最優秀賞を受賞。2020年9月に一般公開されたこのパビリオンは、建築家がソウルの近代遺産を振り返りながら現代の都市生活が抱える問題とその未来を浮き彫りにすることを目的とした、100周年記念展「建築と遺産」の話題作品として活躍した。
「永久の春」パビリオンプロジェクトは、都市、気候変動、環境、未来の問題に人々の関心を集めるためのデモンストレーションであり、チャンスでもある。ソウル市内で最も頻繁に利用されて目につく施設の中庭に展示され、活用出来るように設計されているため、このプロジェクトのメッセージは広く伝わり、社会に大きな影響を与えるという構想になっている。
気候補正マシンは、真の意味で自由な公共表現空間を創造することが今日の都市の再生産と拡張のあり方を問うラディカルな方法であるという考えに基づき、認識のためのプラットフォームと行動への招待を提示した。パビリオン内の春の気候を維持することで、自由で公正な社会を求める進歩的な運動に適した気候条件を永続させることを目指した。春は「民族の春」「プラハの春」「アラブの春」など、人類の歴史において詩的表現にもなっている。
このパビリオンは、都市のコミュニティーの集いの機能的な側面を示す貴重なプロトタイプとして機能した。つまり、建物を人工的に制御された温室装置として現代の緊急のグローバルな問題である気候変動に取り組み、注目を集めることができるようにした。パビリオンは形や目的地と機能を組み合わせた「気候修正マシン」として提案され、意識のためのプラットフォームであると同時に、行動への招待状でもある。
巨大な昆虫の頭部のように、「永久の春」パビリオンには直径90cmのポリカーボネート樹脂の半球体である150個の「目」が設置される予定で、この水晶のような光を放つ「目」はパビリオンの鈍い金属の塊から、まるで圧倒的な内部力で膨張を余儀なくされているかのように飛び出している。内部と外部を曖昧に分けながら、秋冬の寒さをしのぐ陽光を惜しげもなく取り込む。さらに、人工的な気候補正装置を組み立てるために、美術館の屋根に太陽光発電パネルを設置し、可変気候制御システムを構築した。このパネルは自動排気ファン、アルミホイルカーテン、相変化放射床暖房システムを駆動して空間内の温度を安定させ、パビリオン内の小さな庭で育つ春の天候に近い状態を常時維持するために使用されている。
オブラ・アーキテクツについて
オブラ・アーキテクツは都市や地域社会にインパクトを与えるプロジェクトに取り組む建築設計・計画事務所で、社会的に持続可能な設計環境を創造している。住宅プロトタイプ、公共スペース、都市計画、高齢化社会に対応した住宅プロジェクト、学校や幼稚園などの教育プロジェクト、設計やプロジェクト遂行におけるエネルギー効率や再生可能エネルギーの導入など、LEED APの専門スタッフとFAIA(米国建築家協会)のフェローが中心となって活動している。オブラは少数民族の女性が経営する企業であり、地域社会や国際的なコミュニティ志向のクライアントや制度レベルのイニシアティブを仕事と実践で支援し、アルゼンチン、中国、韓国、イタリア、米国など世界各地でプロジェクトを行い、積極的に起業家精神を持ち、建築がコミュニティや環境に与える影響を変えようとする運営を行っている。同時に、建築、デザイン、都市計画を通じて変化を求める地元のエネルギーと国際的なインスピレーションを持つクライアントや機関を活用するプラグマティズムとリアリズムに由来する作品を目指す。