デュシャン作品試作群のアーカイヴ化を記念した初の国際的な議論の場
国立アートリサーチセンター(NCAR)と多摩美術大学アートアーカイヴセンター(AAC)の共催による国際シンポジウム「マルセル・デュシャン《大ガラス》レプリカをめぐって——ストックホルム・ロンドン・東京・パリ」が、多摩美術大学八王子キャンパスで2025年3月1日(土)に開催される。このイベントは、多摩美術大学がデュシャン作品の試作群をアーカイブ化したことを記念するもの。
マルセル・デュシャン(1887-1968)は既製品の便器にサインをした《泉》などで知られ、現代美術の概念を大きく揺るがしたアーティスト。その代表作《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称:大ガラス)は、多くの解釈を生み出し、議論の対象となり続けている。オリジナル作品はフィラデルフィア美術館に所蔵されており、展覧会などでの移送が困難なため、これまで3点のレプリカが制作されてきた。そのうち唯一アジアに存在する《大ガラス東京ヴァージョン》(1980年)は、デュシャンと交流のあった瀧口修造と東野芳明(当時多摩美術大学教授)が監修を務め、東京大学と多摩美術大学の学生らが制作したもの。本シンポジウムでは、ストックホルム、ロンドン、東京、パリの各地で制作されたレプリカに焦点を当て、制作経緯や保存、活用について議論を深める。
登壇者プロフィール
アンナ・テルグレン(博士)
ストックホルム近代美術館写真部門キュレーター。北欧圏の写真家やアーティストを対象に数多くの展覧会を企画。デュシャン作品の研究にも取り組む。
ナタリア・シドリーナ(博士)
テート美術館国際近代美術部門キュレーター。20世紀初頭の東西ヨーロッパにおける文化横断的な歴史や亡命芸術の研究で知られる。
光田由里
多摩美術大学アートアーカイヴセンター所長。20世紀美術史と写真史を専門とし、著書や展覧会企画で高い評価を得ている。
パスカル・ゴブロ
映像作家・映画監督。デュシャンの《大ガラス》をテーマにした作品群で知られ、2024年には《To Be Broken》というパフォーマンスを実施。
関連イベント
多摩美術大学アートアーカイヴセンター所蔵資料展6《大ガラス東京ヴァージョン》ガラス・スタディ アーカイヴ展
- 前期:2025年3月1日(土)〜3月15日(土)
- 後期:2025年4月1日(火)〜5月17日(土)
- 会場:アートアーカイヴセンターギャラリー(多摩美術大学八王子キャンパス)
多摩美術大学アートアーカイヴセンター(AAC)
多摩美術大学の附属施設。AACは現在、19の資料体を有し、アーカイヴの構築、公開、活用、研究を行っています。活動の成果は、シンポジウムや年報/紀要『軌跡』にて発信している。また、AACの資料を活用した展覧会をアートアーカイヴセンターギャラリー(八王子キャンパス)にて定期的に開催している。
国立アートリサーチセンター
国立アートリサーチセンター(NCAR)は国内外の美術館、研究機関をはじめ社会のさまざまな人々をつなぐアート振興の新たな拠点として、2023年3月に設立。
NCARシンポジウム004・第7回多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム
日時 | 2025年3月1日(土)13:30〜16:30 |
会場 | 多摩美術大学八王子キャンパス レクチャーAホール |
定員 | 200名(要事前申込・先着順) |
参加 | 無料 |
申込 | 申し込みフォーム |
締切 | 2025年2月28日(金)23:59 |