ピュア・パワー / デイリーコンバット戦略による水資源の確保
ホン・エン・リンは、アフリカに住む多くの人々が自宅から水源まで1~3時間かかる上、得られる水は泥水であることが多いという過酷な環境下に置かれている現状を目の当たりにし、ピュア・パワー / デイリーコンバット戦略を導入した。劣悪な環境では、きれいな水を手に入れることができないため、デザイナーの目標は、きれいな水を得ることをサポートすることである。
きれいな水資源へのアクセスが実現すれば採水も改善され、アフリカの地域では清潔な飲料水や調理用の水が確保され、より良い食品衛生が実現する。
住まいからの想い
住宅は雨風をしのぐ最も重要な場所であり、日常生活を営むための場所でもある。世界のほとんどの地域には独自の織物文化があり、限られた環境条件と予算の中で、デザイナーは地域の織物文化を活用し、地域材の住宅と露の回収を組み合わせることで、よりクリーンで経済的な住宅と、よりクリーンな水源を作るアイデアとしている。
デザイン思考とクリエイション
経済的な持続可能性に基づく地域材を、10年後、20年後に他の場所にも展開できる有効活用ツールとして、現地で入手しやすいレンガや木材が主な建材として使われている。また、ローカルなもののデザインは、織物と家族の力によってシンプルに実現することができる。共同で織ることにより、家族間の情緒を高めながら予算の支出を抑えることができ、手作りしたという温度感を高め、より親密な家族の帰属意識が生まれる。寝室を公共空間を取り囲むように配置し、寝室と半屋外空間が密接につながり、家族が集う日常生活空間となる。屋根の上には露を集めるための木組みと織物装置が組み合わされており、織物の技法と構造が織りなすコンセプトと呼応する構造体となっている。屋根の被覆は構造体、防水層、集露層で覆われ、早朝の空気中の水分を取り出し、雨水を集め、そしてろ過装置を通した後に貯留することができる。このように、地元の織物の色やシンプルな工法を活用し、組み合わせることで便利でユニークな屋根システムを作ることができる。
ホン・エン・リン
デザイナー、ホン・エン・リンは、日々の観察や人生経験を、さまざまな分野の創造の糧に変えることに長け、イノベーションに挑んでいる。彼の作品は、台湾の地域文化、社会問題、デザイン理論、大衆文化、芸術など、さまざまな分野からの影響を受け、建築デザイン、空間デザイン、写真、ビジュアルコミュニケーションデザイン、ビジュアルアート、マルチメディアの専門知識に裏づけられている。