建築を環境の延長として捉える

カナダ・ミラベルの森林に囲まれた敷地の端に建つ「Du Corail Residence」は、現代住宅がいかに自然環境とより密接な対話を築くことができるかを探求したプロジェクトである。モントリオールを拠点とするスタジオEntre Quatre Mursが4年をかけて完成させたこの7,700平方フィート(約715㎡)の一戸建て住宅は、大規模なスケールを持ちながらも控えめな建築的存在感を保ち、敷地の地形や住まい手のライフスタイルに丁寧に応答している。

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Photo credit: Maxime Brouillet

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住宅は3層構成で計画され、空間体験が緩やかに連続するよう設計されている。メインフロアを見下ろすスキップフロアは、オーナーのためのプライベートなリトリートとして機能し、周囲の樹冠へ向けた限定的な眺望を切り取る。一方、下層階にはレジャースペースやゲストルーム、ティーンエイジャーのための居室が配置されている。敷地の自然な高低差を活かすことで、半地下でありながらも十分な採光と開放感を確保している。

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Photo credit: Maxime Brouillet

住宅の中心となるメインフロアでは、リビング、キッチン、ダイニングが一体化したオープンプランが展開される。大きなガラス開口部から差し込む自然光は、単なる照明ではなく、建築を構成する重要な素材として扱われている。ガラス製のバラスターを備えた浮遊感のある階段は、3層をつなぎながら空間の透明性を強調し、住宅全体に光を巡らせている。

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素材選定もまた、この住宅を森林と鉱物的なランドスケープへ結び付ける重要な要素となっている。天然石は外装から内部へと連続して用いられ、建築と風景との境界を曖昧にする。天井、床、造作家具に至るまで広く採用された木材は、周囲の森との温かく有機的な対話を生み出している。これらの耐久性ある素材は、自然とのつながりを重視するバイオフィリックなアプローチを支え、大開口によって内外の視覚的連続性を強化している。また住宅には、パッシブソーラーによる熱取得や自然換気など、バイオクライマティックな設計思想も取り入れられている。

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プロジェクトを象徴する建築的要素の一つが、キッチンとダイニングの間に設けられた全面ガラス張りのコーナーワインセラーである。単なる収納ではなく、ボトルを家庭内のライブラリーのように展示する彫刻的な存在として機能し、メインリビングの開放感をさらに強調している。キッチン自体もオーナーとの協働によって特注設計され、淡いグレーのキャビネット、ナチュラルウッド、ブラックのディテール、クォーツカウンターを組み合わせた空間となっている。

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こうしたカスタマイズの思想は、住宅全体に貫かれている。ウォークインクローゼットや造作家具、特注の洗面台、時間帯によって空間の雰囲気を変化させる照明計画など、あらゆる要素が住まい手との継続的な対話を通じて設計された。こうした細部への配慮は、機能性を日常の習慣やライフスタイルに結び付けるというスタジオの姿勢を反映している。

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Photo credit: Maxime Brouillet

「Du Corail Residence」は、建築がランドスケープの中でどのように生きることができるかを示す住宅である。敷地に強く主張するのではなく、暮らしを支えるためのフレームワークとして存在するこのプロジェクトは、インテリアアーキテクチャーとは単なる視覚的な空間づくりではなく、そこに営まれる生活を支え、引き立てるものであるというEntre Quatre Mursの思想を体現している。

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Photo credit: Maxime Brouillet

Entre Quatre Murs

2009年設立。モントリオールを拠点とするハイエンドなインテリアデザインおよび建築スタジオであり、大規模な住宅・商業プロジェクトを専門としている。若く情熱的なデザイナーチームによって支えられリノベーションから新築まで幅広く手がけており、唯一無二で時代を超えて愛される、温かみと深いパーソナリティを備えた空間づくりに取り組んでいる。

人間中心で協働的なデザインプロセス、細部への徹底したこだわり、そして最良の素材やリソースを追求する姿勢を組み合わせ、長く心地よさを感じられる空間を生み出している。