ニューヨーク・ブロンクスの公共住宅に誕生した新しいプレイスケープ 

ニューヨーク市ブロンクス区にある公共住宅「Morris Houses」の一角に、地域住民と共に再生されたプレイスケープ「Common Corner」が誕生した。手がけたのは、ブルックリンを拠点に活動するマルチディシプリナリーデザインスタジオThe Urban Congaで、本プロジェクトはNYC Housing Authority(ニューヨーク市住宅局)とPublic Housing Community Fund、Center for Justice Innovation、Jeffrey H. and Shari L. Aronson Family Foundationの支援を受けて、住民との協働により進められた。

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The mural guides movement across the steps, encouraging varied paths and ways of experiencing the space.
Photo credit: Brook Banister

住民との初期調査を通して、長年活用されていなかったコンクリート製の観覧席(ブリーチャー)が再設計の優先対象として挙げられた。かつては活気に満ちた場所だったが、時とともに老朽化し、忘れられた空間となっていた。今回のプロジェクトでは、この場所を多世代が関わるオープンエンドな遊びと交流の場として再生し、地域に再び活気をもたらすことが目指された。

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Common Corner encourages communal connection and social activity through open-ended play design.
Photo credit: Brook Banister

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The installation created more accessible seating by lifting it and adding grab rails at different heights.
Photo credit: Brook Banister

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The project activates these once-underutilized steps, transforming them into an active, multigenerational space that supports a wide range of activities.
Photo credit: Brook Banister

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The before photo of the concrete steps that had fallen to disrepair.
Photo credit: The Urban Conga

The Urban Congaは地域イベントでのパッシブな参加型テーブル設置から、住民との創造的・空想的なプレイセッションまで、幅広いワークショップを通じてデザインプロセスを進行。最初の構想段階から完成に至るまで、住民の想いや体験、意見がすべての設計要素に反映された。再生された「Common Corner」は、交流、運動、想像を誘発する3つのゾーンから構成される柔軟なコミュニティ空間となった。ソーシャルプレイのエリアには、手すりや座面の高さを工夫したアクセシブルなベンチを配置。アクティブプレイのエリアでは、登る・跳ぶ・バランスを取るなどの身体的な遊びを促す構成に。ファンタジープレイのエリアには、ステージのようなプラットフォームが設けられ、パフォーマンスや物語、配膳スペースとしても活用されている。

空間全体を貫くのは遠近法を活かしたミューラル(壁画)で、背面の壁までつながるように描かれ、場所全体が進化し続けるビジョンの一部であることを示している。また、上層部には色が変化する鏡や、住民がパラコードアートを施せるパネルが設置されており、変化し続けるインタラクティブな環境を生み出している。さらに、階段のライザー部分には「We Are The Future」「Dream Big」「Stronger Together」など、住民が選んだメッセージが刻まれ、誇りと励まし、そしてアイデンティティが表現されている。

Morris Houses Residents Association会長のRegina Carterは、「Common Cornerは、住民の声が真に尊重された結果」と語る。「何年もの間、使われずにいたこの場所が、今では若者から高齢者まで、誰もが集い遊べる場に生まれ変わりました。これは単なる座る場所ではなく、コミュニティを祝福し、つながるための場所なのです」と続けた。本プロジェクトは、NYCHAの「Connected Communities」プログラムの一環であり、公共空間を近代化・活性化する取り組みのモデルケースとされている。住民主体の共創型デザインによって、「Common Corner」は、住民のニーズとアイデアを反映した、誰もが関われる空間として誕生した。NYCHA CEOのLisa Bova-Hiattは、「この事例は、Connected Communitiesプログラムの精神と、住民主導デザインの力を象徴するものです」とコメントしている。

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Photo credit: Tameek Williams

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Photo credit: Brook Banister

The Urban Conga

The Urban CongaはRyan SwansonとMaeghann Coleman(AIA、NOMA)により率いられる、ブルックリン拠点のマルチディシプリナリーデザインスタジオ。プレイ(遊び)の概念を通じて、社会的な交流や創造的な関係性を生み出す空間設計を行っている。プレイ手法を設計の重要な手段とし、誰もが関われる多様なスケールの空間介入や、公共インスタレーション、ワークショップ、政策提言まで、多岐にわたる活動を展開。世界各地の自治体、地域団体、教育機関、企業、NGO等と連携し、日常の中に新たな発見と共感を生むデザインを実践している。