創設者の精神を継承し、生きた文化財として活用

一般社団法人東京都建築士事務所協会が主催する建築コンクール「東京建築賞」が、第52回の各賞受賞作品を発表し、リノベーション賞に久米設計が手がけた、神奈川県逗子市に所在する「旧本多邸」が選出された。本賞は既存活用の観点から新たな建築空間の価値を構築したオリジナリティのある優れた作品に贈られる。デザインストーリーが公式サイトに公開されている。

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撮影:小野寺宗貴

旧本多邸は1939年に竣工した木造洋風住宅で、久米設計の創設者の久米権九郎が設計者であること、久米が考案した「久米式耐震木骨構造」が採用されていることが判明し、その文化財的価値の保存と将来的活用を目指し2021年に久米設計が本多家より継承した。保存・改修にあたっては原形・現況の意匠や材料・工法を尊重すること、最大の特徴である久米式耐震木骨構造を活かしながら建物の安全性を確保すること、将来活用に対応できる機能を補うことを軸に工事を敢行。増築部分は撤去し、間仕切りの改変はキッチンやトイレの拡充をはじめ水回りに限定することで、外観・平面ともほぼ原形状態を保存している。浸水・漏水や倒木等による損傷や腐食が深刻な状態であったが、傷んだ部位は丁寧に取り換えや補修を施し、健全な部位は極力再利用しながら工事を進め、大工や左官をはじめとする職人たちの熟練した技術により往時の姿を蘇らせた。

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撮影:小野寺宗貴

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撮影:小野寺宗貴

竣工後、本建物は地域のこどもからお年寄りまでが集う場となり、地域活動の拠点としてその存在が広まりつつある。単に鑑賞するだけの建物ではなく、「生きる文化財」として地域に親しまれている。