岡本太郎現代芸術賞 受賞者決定
岡本太郎の遺志を継ぎ、次代のアーティストを顕彰する「岡本太郎現代芸術賞」、通称「TARO賞」の受賞者が発表された。今年で24回を迎える本賞には616点の応募があり、24名が入選。最終審査を経て、太郎賞1名、敏子賞1名、特別賞5名が決定。2021年2月19日(金)に授賞式が行われた。入賞者・入選者の作品を集めた「第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」を2021年2月20日(土)から4月11日(日)まで、川崎市岡本太郎美術館にて開催する。
太郎賞(賞金200万円)
大西 茅布『レクイコロス』
5メートル四方の壁面を大小さまざまなキャンバスが埋め尽くし、さらに巨大なイーゼルにも複数の絵が掛けられ、インスタレーションとしても成功している。さまざまな人物の群像が、凄まじい圧力でこちらに迫ってくる。タイトルの「レクイコロス」とは、「レクイエム」と「コロナウイルス」とを合成した造語だという。「人類の悲惨を作品化することに衝動を感じる」という作者は、弱冠17歳。よく見れば、壁面中央あたりに、制服を着た自画像が配置されている。現時点での集大成なのだろうが、底知れない可能性を感じさせる力作。(審査員:山下 裕二)
敏子賞(賞金100万円)
モリソン 小林『break on through』
この展示空間に一歩足を踏み入れる時、無機質なホワイトキューブの空間で有機的なものと出会えるかもしれないというワクワク感が湧き上がった。しかし細部に目を凝らすと、これらの植物造形が鉄で作られていることに気付き驚かされる。フレームを突き破ってニョキニョキと根が伸び、近くの植物の根と繋がり、空間全体に広がる一つのインスタレーションに仕上がっている。それぞれが独立している様でいて、実は全て繋がっている様は、現在の地球規模の環境問題が連鎖していることを喚起させる。丁寧な細部にわたる造形技術、予想を裏切る素材感、そして増殖していく拡張性に魅力を感じ敏子賞とした。(審査員:和多利 浩一)
特別賞(賞金10万円)
- 植竹 雄二郎『Self portrait』
- 牛尾 篤『大漁鯖ン魚』
- 小野 環『再編街』
- 唐仁原 希『虹のふもとには宝物があるの』
- 浮遊亭 骨牌『浮遊亭 κοιλια』
入選作家・作品名(50音順・敬称略)
- 東 浩一郎『廻転する不在』
- AYUMI ADACHI『Line 線』
- 袁 方洲『積み上げた影』
- 太田 琴乃『エピソード記憶』
- かえるかわる子『土浦の情熱「矢口新聞」』
- 加藤 立『鑑賞者』
- 金子 朋樹『Undulation/紆濤-オオヤマツミ-』
- 黒木 重雄『Distance』
- さとうくみ子『家中ピクニック装置』
- 許 寧『For you,for me-Earth,People』
- 園部 惠永子『そろそろグングニる。』
- ながさわたかひろ『ウィズコロナの肖像』
- 西野 壮平『別府温泉世界地図』
- 原田 愛子『餅田餅男の最期』
- 藤田 朋一『机上の誉-きじょうのほまれ-』
- みなみ りょうへい『雰囲気の向こう側』
- 山崎 良太『挑む戦闘服』
審査員(50音順・敬称略)
- 椹木 野衣/美術批評家、多摩美術大学教授
- 平野 暁臣/空間メディアプロデューサー、岡本太郎記念館館長
- 北條 秀衛/川崎市岡本太郎美術館館長
- 山下 裕二/美術史家、明治学院大学教授
- 和多利 浩一/ワタリウム美術館キュレーター
「第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」概要
会期 | 2021年2月20日(土)~4月11日(日) |
会場 | 川崎市岡本太郎美術館・企画展示室 |
開館時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで) |
休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般 700(560)円、高・大学生、65歳以上 500(400)円、中学生以下は無料 |