半分見えない不可視の領域を持つような彫刻のあり方の可能性を探る
戸谷成雄による個展「視線体:半彫刻」がシュウゴアーツで2025年10月18日(土)から11月22日(土)まで開催される。戸谷は「視線体」と名付けたシリーズに2019年から取り組んできた。本展では、新作「視線体:半彫刻」が発表される。

戸谷成雄, 視線体:半彫刻 1, 2025, wood, acrylic, 61.5x40.5x33.5cm
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts, Photo by Shigeo Muto
ギリシャ時代の輝かしい彫刻の時代の前には、レリーフ(浮彫)の存在があり、「レリーフから彫刻へ」という連続性を前提とした展開をしている、とするのが西洋近代彫刻史における通説と言われている。今回タイトルにある「半彫刻」とは、戸谷がその流れを逆転し、「彫刻からレリーフへ」と向かう様を示している。ただしここでは、前ギリシャ時代の原始的なレリーフに戻るのではなく、半分見えない不可視の領域を持つような彫刻のあり方の可能性を意図している。

戸谷成雄, 視線体, 2019, wood, wood ash, acrylic, variable size, 9 pcs
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts, Photo by Shigeo Muto

戸谷成雄, 視線体-積, 2021, wood, wood ash, acrylic, 142x171x201cm (a set of 13 pieces)
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts, Photo by Shigeo Muto
本展では「視線体:半彫刻」への入口を指し示す作品として、戸谷が1992年に制作した代表作「落下」と、2001年に発表した大作ドローイング「森の視線」も併せて展示される。

戸谷成雄, POMPEII・・79 〈Part 1〉, 1974/1987, concrete, 15x60x60cm, 45x45x170cm, 4pcs
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts

戸谷成雄, 森の視線, 2001, Japanese ink on Japanese paper, 305x364cm
Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts
戸谷成雄
1947年生まれ。ミニマリズムやもの派のムーブメントによって解体された「彫刻」の再構築を試み、1970年代より一貫して人間の存在認識に通じる彫刻の原理と構造を追究してきた。洞窟壁画を経て、ギリシャ彫刻に始まりジャコメッティに至る西洋彫刻と、円空に始まり昭和初期を生きた彫刻家橋本平八までの日本における彫刻との双方の成果を受け止めつつ、「彫刻は視線の集積である」という独自の彫刻観に至ることで、もの派を越えて瞠目すべき彫刻群を発表し続け、日本の彫刻家として最も重要な存在の一人と位置付けられている。
主な展覧会に、1988年ヴェニスビエンナーレ日本館、1993年アジア・パシフィック・トリエンナーレ(ブリスベーン)、2000年光州ビエンナーレ(アジア賞受賞)、近年では2022年から2023年にかけて長野県立美術館と埼玉県立近代美術館にて巡回回顧展。
戸谷成雄新作個展「視線体:半彫刻」開催概要
会期 | 2025年10月18日(土)~11月22日(土) |
時間 | 11:00~18:00 ※日月祝日休廊 |
会場 | シュウゴアーツ |
URL | https://tinyurl.com/49mfpw6h |