スキャンした点群データを建築化するプロジェクト

オーストリア・インスブルック大学の学生ジュリアン・エーデルマンによる「ボクセル・クラウド・プロジェクト」は、解像度と複雑さを調査することによって建築おける曖昧なテクトニクスを扱う実験的プロトタイプである。このプロジェクトはアルゴリズムによって生成された複雑な幾何学模様と人間の知覚を対峙させ、自然とテクノロジーの融合を試みることで人間の中心的な役割を問うものである。

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voxel scaffold
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

住宅としての最終結果はそれ自体が提案ではなく、データと計算によって、機械によって建設できるものであり、 人間中心主義から脱却した環境でも、人間だけでなくミクロからマクロの生物が生息しどのように生成できるかを思索しているのである。

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3d section
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

複雑性とはシステム内のデータや情報の量と定義されているが、現在の私たちは情報量に制限されていない。日々収集されるデータは指数関数的に増加し、オープンソース化する傾向にある。同時にデータは無料、素材は有限となり、もはや「多ければ多いほどいい」「少なければ少ないほどいい」という問題ではなくなってきている。建築は単なる材料ではなく情報的な行為でもあるため、より少ない材料でより多くの情報を使って建築する可能性があり、その結果複雑さが増している。建築業界は世界で最も成長の遅い産業であるため、建築に対する考え方を根本的に変えなければならない。

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physical model
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

このプロジェクトでは、スキャンした点群データを設計ツールの入力として使用する計算ワークフローを採用している。3次元データセットは環境条件、構造荷重、デジタルファブリケーションパラメータ、材料制約などのローカルおよびグローバルな属性によってさらに情報を得ることができるデジタルデータスケープとして機能し、このプロセスにより点群データはボクセルデータに変換され、各ボクセルデータはその場所に固有の情報とデータのコンテナとして機能する。このデータスケープは人間にはほとんど見えないが、機械によって解読され加工することができる。

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physical model
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

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physical model
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

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physical model
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

出力としてデザインツール装置は密度と関節の高い多様性を持つフィリグリーで、軽量なデータ情報付き構造物を生成する。立体的なものと繊維状のもの、秩序と無秩序の間の遷移が特徴である。最終的なデザインは存在せず、むしろ進行中の適応的な成長プロセスである。建設過程と建築利用を切り離すのではなく、演劇のように製作ロボットと人間や他の種族が共存するインターフェースとして機能する構造体である。

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physical model
Photo credit: Julian Edelmann, BachelorThesis, i.sd structure and design, University of Innsbruck

内部も外部もなく、異なる微気象条件を強化することができるいくつかの密度があり、ボクセルの足場は植物や動物が適応して構築するためのキャンバスのような役割を果たし、同時に構造物全体に水を導く。この作品はオーストリア・インスブルックの公園に設置され、時間の経過とともに生い茂り、周囲の自然環境と調和することができるようになっている。

ジュリアン・エデルマンについて

ジュリアン・エデルマンはインスブルック大学の建築学科の学生で、コンピュテーショナルデザインとデジタルファブリケーションに関心を持っている。