スタジオ・サンチアゴ・フェルナンデス+カンディダ・タベット・アルキテトゥーラによる「Murillo Housing」
ウルグアイの首都モンテビデオに建設された「Murillo Housing」は、森に囲まれた土地に200㎡の大きさの住居を5軒建てるプロジェクト。最大の課題は、いかに自然を干渉することなく、むしろ調和するように建設するか、ということだった。
そこで最も重視したのが、それぞれの住居が大きな樹に近接して設置されることだった。光の流れや強さ、量などを研究し、建築家達が辿り着いたのは、各住居が向かい合って設置される十字の配置だった。この特徴的な配置により、見る角度によってそれぞれ個性のある表情を見せる住居が完成した。
切妻屋根と、ランドスケープに調和した庭のデザインは、20世紀前半に確立されたカラスコ(モンテビデオの地区)の独特の建築スタイルに影響を受けている。それは、シンプルな美を追求しながら自然との調和を大事にする、カラスコの建築を体現したものである。
木と波形のシートを組み合わせたファサードに見られるように、建物の細部や素材の選択に至るまで、行き届いた配慮がなされていることがわかる。木炭の波形シート、木、白の漆喰、ガラス、野生の植物など、厳選された素材が適材適所に配置されている。1階にあるリビングとダイニングに、木のパネルでできた棟が外付けされ、そこにキッチンとランドリールームが入っている。
大きな樹が外のパティオを優しく覆い、人が大勢集まってBBQなどを楽しめる、心地よい空間を提供している。パティオの床は、古い住居から廃棄された石を再利用しており、サステナブルデザインに貢献している。
TVルームは、中央の棟に隣接して建てられている。中央棟にはパウダールームがあり、3つの寝室がある2階へ続く階段もある。2階の寝室は、中2階にあるファミリールームを介して繋がっている。ダブルハイトのガラスの壁からは、外の緑を望むことができる。また、家の中を新鮮な空気が循環する、換気機能も備えている。
紫外線をカットするダブルガラスパネルと、スチールフレームとの間に意図的に隙間を作って、木板、または木炭シートをファサードに設置することで、断熱の機能を持たせている。
スタジオ・サンチアゴ・フェルナンデス+カンディダ・タベット・アルキテトゥーラについて
スタジオ・サンチアゴ・フェルナンデス+カンディダ・タベット・アルキテトゥーラは、2000年以来、住居、商業施設、行政プロジェクトの建築やインテリアデザインなどに共に携わっている。プロジェクト開発は、その地の環境と歴史を学ぶことから始まり、経験と革新を結びつけることで、従来の用途を超える材料の活用につながる。ブラジルだけでなく、ウルグアイ、アルゼンチン、アメリカ、レバノンなどグローバルに事業を展開している。