太陽の暖かさと海への時代を超えた畏敬の念が古い世界と新しい世界をつなぐ
ロサンゼルスを拠点とするStudio UNLTDによるレストラン「カリー」のデザインプロジェクトは、カリフォルニア州サンディエゴのダウンタウンにある高層ビル1階638㎡のスペースの内装入れ替えを含むものであった。Studio UNLTDは温もりや魂、そして不思議な感覚を思い起こさせるレストランの空間になるように、また、その感覚がドアを超えて届くようにとデザインをした。

The floors are honey-toned European oak and the tabletops are a blend of deep rich wood tones and a light-colored, veined stone.
Photo credit: Tanveer Badal
このデザインは、海外を旅して帰国した勇敢な探検家が、新しいチャレンジのために、知識とインスピレーションを集めるというストーリーを表現している。地中海とカリフォルニアにインスパイアされた素材とファブリックのコレクションに、モダンなタッチを加えて軽快さを感じさせるムードを演出した空間は、スケートとサーフィンをモチーフにし今までの固定概念を打ち破った、シェフ・スウィカードによる反抗とエネルギーの新しい一場面をもたらしている。
バーで「チューブの中」に座ると、頭上の堂々とした波が黄色い光を放ち太陽の輝きを思い起こさせる。またダイニングエリアでは植物、マリンブルーのチェア、錆色のブースなど、座席がリラックスした沿岸地域の雰囲気を演出している。バーエリアとのバッファーとして機能する広々とした対面式のバンケットは、コンクリートグレーの布張りで黄色の「レール」状の背もたれが特徴的である。

The cornerstone of the project is the dramatic arched bar design with its use of structural glulam beams.
Photo credit: Tanveer Badal

The architectural lighting, color scheme and finish materials at the bar bring the magic of the golden hour to life.
Photo credit: Tanveer Badal
床から天井まであるワインルーム、魅力的なプライベートダイニングルーム、そしてシェフのショーキッチンが、ダイニングルームの3面を取り囲み、キッチンのモニュメントである石張りのパスカウンターの上には、錆びた船体をイメージしたコルテン鋼のV字型排気フードが吊り下げられている。 プライベートダイニングルームは、スチールやガラスでできたパーティションに囲まれ、棚には旅の品々が陳列されている。フローリングの床にはペルシャ絨毯を現代風にアレンジしたワインレッドのラグが敷かれ、壁一面に敷き詰められたラグに包まれながら、シェフの料理を堪能することができる。

Hanging above the kitchen’s pass counter, the exhaust hood is clad in a v-shape of corten steel.
Photo credit: Tanveer Badal
スタジオUNLTDについて
2009年に設立されたロサンゼルスのStudio UNLTDは、インテリア建築、家具デザイン、照明など様々な分野に精通し、数々のアワードを受賞しているデザイン事務所。クライアントのニーズに注意深く耳を傾け、機能的で快適、かつ美しい空間を創造する。また、プロジェクトの中心はクライアントであることを理解し、アイデアを具体的な形にしていくことを心がけている。クライアント、貿易コンサルタント、職人、世界的なシェフ、バーテンダー、テイスティングメーカーなど、情熱的な人々と共に仕事が出来ることを楽しみ、彼らのユニークで協力的なアプローチはアイデアの効果的な相互交換を促し、貿易専門家との強い関係はアイデアの初期段階から建設に至るまで、幅広いリソースを仕事にもたらすことを可能にしている。