MOTIVE Inc.がデザインした東鉄総合研修センターのウェイファンディングシステムが国際的な評価を得る
環境情報デザインを主力事業とするMOTIVE Inc. が、東鉄総合研修センターのためにデザインしたウェイファインディングシステムが、国際的なデザイン賞を多数受賞している。世界3大デザイン賞のひとつ、「Red Dot Design Award 2022」(ドイツ)の優秀賞をはじめ、「A' Design Award 2021-2022」(イタリア)の銀賞、「AZ Awards 2022」(カナダ)のExperiential Graphic Design部門の大賞、そして世界3大デザイン賞の「IDEA 2022」のファイナリストに選出されるなど、シンプルで機能的なデザインが世界的に高い評価を得ている。
東鉄工業グループは、1943年、当時の鉄道省の要請により、鉄道の保持・強化を目的とした国策会社「東京鐡道工業株式会社」として誕生した。以来、高い専門的技術力と高品質な施工実績で、鉄道関連工事のリーディングカンパニーとして、建築業界に独自の地歩を確立している。
東鉄総合研修センターは、「知って、見て、触れて、体感して」学ぶことができる環境を整えるべく、茨城県つくばみらい市の約40,000㎡の敷地に様々な実体験型設備を配置した、人材育成の場として建設された。
企業アイデンティティを感じられるデザイン
デザインモチーフに使われたのは、東鉄工業のコア・アイデンティティでもある、「鉄道のレール」。
空間の性質上、死角となる部屋が存在するが、レールのデザインがそれらの部屋への道しるべとなっている。床に描かれたレールの線やその他の要素が提供するアフォーダンス(人をある行為に誘導するためのヒントを示す事。「シグニファイア」とも言う)により、各部屋や設備へ誘導される仕組みだ。
廃棄されたレールを施設名ボードや階段に利用するなど、企業の個性を捉えた工夫に創造性のあるアクセントが加わり、独特の空間が完成している。
2階は、東鉄工業が扱う路線で利用される色で、各部屋と対応するキーカードが同じ色にコード分けされている。カードに記載された部屋番号と線路は、他のカードと隣り合わせて組み合わされることで無数のルートを示す路線図となる。
各所に散りばめられたデザイナーのアイデアと工夫が、研修施設を利用する社員たちが仕事に対する誇りを感じられるような空間づくりに役立っている。
MOTIVE Inc. について
MOTIVE Inc. は、2019年、脇崎拓也によって設立された設計デザインの会社。オリエンテーションデザイン=環境情報デザインを中心に、東京、中国、ルーマニア、セルビアなど世界的に事業を展開している。
朝日が登ると、東の方角がわかる。潮の香りがすると海が近くにあることがわかる。トンネルの先に光が見えると出口を見つけることができる。MOTIVE Inc. では、人間には、環境が発信する「刺激= 情報」を受け取って、その環境に順応し、行動していく力があると考えている。
世界に存在する様々な「刺激= 情報」は 、どのように脳や心や身体に作用して、人が環境に順応し行動する「動機」となるのか。「動機」につながる情報と、そうでない情報にはどんな違いがあるのか。
家具デザイナーは人体のデッサンを繰り返して心地よい椅子をつくる。MOTIVE Inc. は人間の「思考」と「動機」のデッサンをするように、オリエンテーションデザイン= 環境情報デザインに取り組んでいく。