台中市で東北の工芸品を中心としたポップアップストアも開催

海外向けの工芸品ECサイト「奥心舎 / Oshinsha」を運営するコミューナは2022年11月29日から12月4日まで、南部鉄器の製造販売を行うタヤマスタジオ、工芸に関するデザインなども手がける吉勝制作所ともに台湾にて台北芸術大学文化資源学院と工芸に関する交流事業を行う。本事業は仙台市産業振興事業団と台北芸術大学の雇用人材確保に関する協定の締結に際して行われるもので、東北における工芸の現状やその特性の紹介、日台両国での工芸を取り巻く課題についての議論等を通じて現代の工芸のあり方や可能性を探る。adf-web-magazine-tohoku-crafts-go-to-taiwan-1

本交流事業の他に2022年11月26日から11月27日まで台中市において「奥心舎」ポップアップストアも行い、東北の工芸品を中心とした日本各地の工芸品を販売する。

事業の経緯

国立台北芸術大学文化資源学院との交流事業は、仙台市産業振興事業団人材確保支援課の台湾の学生に東北・仙台の魅力を知ってもらうための事業として始まる。2022年1月6日に「仙台から東北の伝統工芸を海外へ」というテーマで弊社の齋藤が台北芸大の学生に講演を行い、続いて2022年2月10日と2月19日に「台湾の工芸品を海外に販売するなら」というテーマでオンラインワークショップを行った。その流れをうけ、より深い交流と具体的なプロジェクトを行うべく、台湾の水際対策緩和をうけて今回の台湾訪問となった。

交流事業

  • 台北芸術大学での南部鉄器職人田山貴紘と吉勝制作所代表・デザイナー吉田勝信によるレクチャー
  • 上記2名と弊社代表取締役・奥心舎ディレクター齋藤高晴をまじえたパネルディスカッション
  • 宜蘭県の国立伝統芸術センターへの訪問とヒアリング
  • 花蓮の芭蕉工芸(バナナの皮を使用した台湾先住民の伝統工芸)工房への訪問
  • 南投県の国立台湾工芸研究発展センターへの訪問

台中市におけるポップアップストアについて

今回の交流事業とは別に、奥心舎の主催で2022年11月26日から11月27日までの2日間、台中市において東北の工芸品を中心とした日本の工芸品を販売するポップアップストアを開催。会場は日本統治時代に医師宮原武熊の邸宅として建てられ、後には台中市の市長公館としても使用された「宮原武熊邸」。奥心舎は2022年10月14日から10月16日までは、ベルギーのアントワープにおいてポップアップストアを開催しており、ベルギーでの開催に続いての台湾開催となる。adf-web-magazine-tohoku-crafts-go-to-taiwan-2

タヤマスタジオ

鉄瓶のブランドkanakenoを通じて南部鉄瓶の製造・販売を行う。代表田山貴紘の父・田山和康(2018年に”現代の名工”として厚生労働大臣から表彰)技術顧問のもと、20代~50代の職人たちが技を磨く。同ブランドでは南部鉄器のアップデートにも取り組んでおり、市民と学ぶ講座「てつびんの学校」、新しい鉄瓶ショールーム「お茶とてつびんengawa」、持続可能な若手職人育成の仕組み「あかいりんごプロジェクト」を実施。2022年には、公園内に工芸の作り手と使い手をつなぐ文化共創の場「shop & gallery SUNABA」をオープン予定。adf-web-magazine-tohoku-crafts-go-to-taiwan-3

吉勝制作所代表 吉田勝信

採集者・デザイナー・プリンター。山形県を拠点に、海や山から採集した素材で「色」をつくり、現代社会に実装することを目的とした開発研究、および超特殊印刷などを行う。フィールドワークを取り入れた制作のほか、ブランディングやコンセプトメイキング、商品企画、サービス設計などにも携わる。adf-web-magazine-tohoku-crafts-go-to-taiwan-5

奥心舎

「Oshinsha / 奥心舎」はコミューナが2021年から運営する海外向けの工芸品ECサイト。東北の工芸品を中心にしつつも、東北のみにはこだわらず日本各地の工芸品を取り扱う。ヨーロッパや米国からの注文が多く、直接仙台から世界各地へ発送している。2022年10月には顧客の多いベルギーのアントワープにてポップアップストアを行う。

コミューナ

コミューナは仙台を拠点に翻訳、マーケティング、デザインなどの技術を組み合わせて様々なサービスを提供する会社。「奥心舎」のように海外に向けて販路開拓を行う事業や、インバウンド向けの観光情報サイトの制作などを行っている。