シームレスな融合を実現
ケープタウンを拠点とする建築事務所SAOTAの代表である建築家フィリップ・オルメスダールは、この敷地を自分のものにするまで、15年以上もこの街のボウルの近くに住み、この敷地に憧れていた。「建築家が自身の住宅を設計する時は、長年SAOTAで住宅を設計して得た知恵だけでなく、実験的なものを組み合わせることができる。」と語る。
フィリップは自身の住宅建築において、建築のアイデアを探求する機会を得るとともに、個人的な連想や好みを織り交ぜることができた。建設予定の角地は急勾配で当時のガーデン郊外によく見られる広い庭の中央には60年代のランチスタイルの家が建っていた。しかしフィリップはケープタウン市の密集化戦略を新たなヒントとして、この土地を等高線に沿って細分化し、上部に5ベッドルームの家族向け住宅、下部に4ベッドルームの賃貸アパート2棟を建築することで、郊外の庭に建つ独立した一軒家の精神を、変化した都市の状況に合わせて再開発した。
母屋とその下の宿泊施設は共有の壁で仕切られており、歴史的にこの地域を特徴づけてきた長屋を参考にしている。基壇部にはジム付きのガレージ、ゲストとスタッフの宿泊施設、ユーティリティ・ルームがある。2階はリビングスペースで、その高さから街の素晴らしい眺めを臨むことができる。3階にはリビングエリアと屋根付きの屋外テラスがあり、最上階には4つのベッドルームと小さなラウンジと書斎、そしてフィリップのための広々としたオフィスと、妻のためのヨガスタジオがある。鉄骨フレームに取り付けられた角度のついたプレキャストコンクリートのスクリーンは、ファサードの広々としたグレージングに遮光とプライバシーを提供している。
この家の特徴はリビングルーム、キッチン、ダイニングルームを取り込んだ、ひとつの大きなオープンプランのエリアとして構想されたメインリビングに最もよく表れ、これらはSAOTA設計の住宅の特徴である、重なり合い、シームレスな空間を構成し、流れるような生活のプラットフォームを形成している。
SAOTA
SAOTAは設計、ドキュメンテーション、プロジェクト遂行への革新的かつ献身的なアプローチにより、世界的に人気の高い建築家事務所。世界6大陸でプロジェクトを展開し、世界におけるデザインの位置づけと、多様な市場で建築プロジェクトを実現する方法を明確に理解している。