自然と共生する都市の森「The Forestias」のパビリオン ランドスケープをTKスタジオがデザイン

バンコクのランドスケープデザイン事務所TKスタジオが、タイの大規模土地開発プロジェクト「The Forestias」の中に設計された「フォレスト・パビリオン」のランドスケープデザインを完成した。The Forestiasプロジェクトは、48,000㎡に及ぶ緑地を中心に、住居、売店、オフィス、6つ星ホテル、医療施設、文化施設、教育施設などの施設を配備した複合型の都市開発。全ての世代が生態系と共生しながらサステイナブルで健全な生活を送ることができるコミュニティの形成を目指している。フォレスト・パビリオンは、このプロジェクトの中心に位置する緑地への玄関口であり、自然との共生を提案する上で重要な役割を果たしている。フォレスト・パビリオンの建築を含めたThe Forestiasプロジェクト全体の建築デザインは、イギリスの有名建築デザインスタジオのFoster+Partnersが手掛けている。

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Forest Pavilion, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

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Masterplan of The Forestias development, Photo credit: TK Studio, Google Earth

TKスタジオは、リサーチの結果から導いた、自然との共生が健全かつ幸せな生活を支えるとの考えに則り、パビリオンの全ての角度から緑地が見えるよう、かなりの部分を緑地に当てた。ランドスケープデザインのコンセプトは「自然との共生」。未来の自然との共生に向けての種蒔き、自然への没入体験、そして人々の活動と森林育成のバランスを取ること、これら3つを念頭に置きながら、コンセプトに沿ってデザインを行った。プライバシーを最大限に確保しながら本格的な森林居住体験を提供することで、全てのユーザーと居住者が幸福感を得られることを目指している。

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Canopy walk and waterfall, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

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Waterplay area at stepped water feature, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

フォレスト・パビリオンは、自然共生の研究施設としても機能している。よって、生態系がランドスケープデザインにも採り入れられ、ユーザーが都市空間における自然を体験できるユニークな空間になっている。遊歩道や連絡通路により、屋外へのアクセスがしやすくなり、美しい自然を存分に満喫できる設計となっている。

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Canopy walk, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

当パビリオンでは、通常の都市環境とは比べ物にならないほどのスケールで自然が盛り込まれている。ミヤワキ・エコフォレストと名付けられた森のようなダイナミックなランドスケープは、何世代にもわたって進化し続けられるような生物多様性を持ち合わせた、まさにこの世のパラダイスである。

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Grand entrance and drop off, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

国際的な評価認証システムのSITESやWELL、LEEDを取得した本施設には、現代のハイクオリティライフを実現するサスティナブルなデザインが施され、都会にありながらも自然に囲まれたエネルギーに満ちた生活を送ることができる。

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5-meter tall waterfall, Photo credit: Mr. Rungkit Charoenwat

The Forestiasで提唱されている「幸せ」は、シンプルだがパワフルなマニフェストである。都市の森に住むことのできる、理想的な聖地である本プロジェクトは、健康と長寿に繋がる優れた環境を提供し、人々に「幸せ」を与える。これは、優しく温かな社会を形成し、何世代も継承されていくだろう。自然の一部となることで、サスティナブルな社会への関心が増し、また、自然と共生することで得られるメリットを享受し、互いにそれらを分け合う。このプロジェクトが、タイにおける住居開発のターニングポイントとなり、よりハイクオリティな住居プロジェクトに繋がることを期待したい。

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Biodiversity in Forest Pavilion, Photo credit: Dr. Anong Chanamool, Research and Innovation for Sustainability Center (RISC)

TKスタジオについて

タイのバンコクに位置するTKスタジオは、ランドスケープデザインを専門にした事務所。環境への影響を最小限にとどめ、サスティナビリティを提唱する自然なランドスケープを目指して、生態系を活性化するデザインを目指している。健全な生態系を育むには、人間だけでなくそこに生息する全ての生きものが平等に配慮されたデザイン過程を経て、ランドスケープが完成されることが大事だと考えている。また、ランドスケーププロジェクトを通して、サスティナブルな進化と同時に、社会・経済・環境面の進化も促進するようなエコシステムの提供を目指している。ランドスケープアーキテクチャーから技術者、アーティスト、園芸家、研究者に至るまで、幅広い分野の専門家を擁し、多様なサービスを提供している。