京都国立近代美術館は「分離派建築会100年 建築は芸術か?」を2021年1月6日(水)より2021年3月7日(日)まで開催する。本展で紹介する「分離派建築会」は日本で最初の建築運動とも呼ばれている。「分離派建築会」は、1920(大正9)年に東京帝国大学を卒業する石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守の6人の若い建築家によって結成され、後に大内秀一郎、蔵田周忠、山口文象が加わり、昭和3(1928)年まで約8年間に渡り活動を行った。本展では、明治からの日本建築を追うとともに、彼らの出発点である卒業設計、図面、模型、写真、映像、また彼らが影響をうけた他分野の芸術運動や関連する美術作品との関わりを紹介し、変革の時代を鮮やかに駆け抜けた「分離派建築会」の軌跡を振り返る。「分離派建築会」が希求した建築の芸術とは何か。本展は、日本近代建築の歩みのなかで果たした彼らの役割、位置付けを明らかしようとする。
彼らは、明治から大正にかけて西洋の建築を模した様式的で権威的な近代建築に対立し、新しい時代に見合った建築の形を模索した。その背景には鉄筋コンクリートの登場や、議院建築(いまの国会議事堂)を建設するにあたって、日本は今後どんな建築様式を選ぶべきかという、建築界を取り巻く議論があった。
本展では、1920年からはじまる彼らの活動を、「彫刻」「田園」「都市」「家具」というテーマで、彼らの作品を中心にしながら、彼らが参照した建築以外の芸術作品を含めて紹介する。また、彼らが設計した建物が、当時の人達の目にはどのように映っていたかを紹介する資料も紹介する。
展示構成
世界から注目を集める日本の現代建築のルーツを探る
昨今、日本の現代建築は世界から高い評価を得ている。その理由のひとつが、建築と自然との新しい関係による繊細な建築の表現である。そのルーツともいえるのが「分離派建築会」。彼らは、自然主義を掲げた文学運動である「白樺派」からの影響もうけて、過去の様式主義的な建築ではない、自然や自己と対峙する建築を目指した。日本の現代建築の系譜を探るとき、近代建築の掲げる機能主義では語り得ない、自然や美を探求した「分離派建築会」の活動は重要である。
建築展ながら関連する美術作品、ロダンやマイヨールの彫刻も展示
「分離派建築会」は権威的な建築を嫌った。新しい建築の形をさぐり、建築だけではないアートへも関心を高めていき、それがオーギュスト・ロダンにはじまる彫刻。本展は建築展ながら、彼らが影響を受けたロダン(国立西洋美術館所蔵)をはじめ、メンバーの一人である石本喜久治が大事にしたオズヴァルト・ヘルツォーク(石本建築事務所所蔵)など、関連する美術作品を紹介する。
「分離派建築会」を現代に問い直す、若いアーティストも展示・イベントに参加
「分離派建築会」の活動は、大学を卒業したばかりの20代の若い建築家によって結成された。それから100年。彼らの活動を懐古的に振り返るのではなく、現代において新たな解釈のもとで彼らの活動を再考するため、多くのアーティストも関わっている。展示では、アーティストの上村洋一は山田守の設計した建築で収録した音源をもとに音楽を制作。また、京都会場のイベントでは、アーティストの中村裕太、小田原のどか、大室佑介による批評記事のアップを予定している。
「分離派建築会100年 建築は芸術か?」概要
会期 | 2021年01月06日(水)〜2021年03月07日(日) |
会場 | 京都国立近代美術館 |
住所 | 京都府左京区岡崎円勝寺町26-1 |
時間 | 09:30〜17:00(金、土曜は20時まで)ただし、入館は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日、2021年1月12日(火)(ただし1月11日(月・祝)は開館) |
観覧料 | 一般 1,500円、大学生 1,100円、高校生 600円 |