都市空間の形成過程にかかわった戦後闇市

闇市と都市」- Black Markets and the Reimagining of Tokyoが高島屋史料館TOKYOで、2025年9月13日(土)から2026年2月23日(月・祝)まで開催される。変化し続ける都市・東京は、それまでの歴史の堆積による必然の産物といえる。戦後80年を迎える今年、本展では戦後の闇市についてとりあげ、闇市の形成に重要な役割を果たした東京23区の空地に焦点をあてながら、とりわけ、闇市を起源として新興の盛り場へと発展した新宿に注目する。

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戦中、空襲による延焼を防ぐために実施された「建物疎開」は、住宅密集地の家屋を強制的に解体撤去し空地を生み出した。この空地や戦争の焼け跡、さらには路上などが、戦後の混乱期において暫定的・時限的に仮設の市場「闇市」へと変貌。その後、役割を終えた闇市はその痕跡を都市の中に刻みつつ、徐々に姿を消した。東京の街並みを注意深く観察してみると、今日においてなお、かつてあった闇市の名残を随所に見出すことができる。

戦後、東京はどのように再生したのか。また、戦後の高度経済成長は、都市をどのように刷新させたのか。本展では、戦後闇市を単なる「不法占拠」といったイメージを超え、闇市を経由して、猥雑なまでの活力を育んだ都市空間の形成過程に迫る。

本展初日には、本展の監修を手がけた石榑督和(関西学院大学建築学部准教授)による記念トークや、会期中に新宿街歩きイベントの開催が予定されている。トークは専用ページより事前申込制、街歩きイベントの詳細は後日公式サイトで告知される。

展示内容一部

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東京23区内の建物疎開跡地に形成されたマーケットの分布(「帝都疎開事業一般図」1944年に2025年加筆)

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日本橋の中央通りに並ぶ露店(1946年3月, 東京大空襲・戦災資料センター提供)

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有楽町の露店(撮影/菊池俊吉, 1946年3月)

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銀座4丁目付近の露店(衣川太一コレクション, 1940年代後半)

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和田組マーケット(1940年代後半, 東京都公文書館提供)

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和田組マーケット露店部の整理とその後の記録写真(1950年頃, 東京都公文書館提供)

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新宿駅東口駅前の火災保険特殊地図 (都市整図社, 1951年)

「闇市と都市」- Black Markets and the Reimagining of Tokyo 開催概要

会期2025年9月13日(土)~2026年2月23日(月・祝)
時間10:30~19:30
会場高島屋史料館TOKYO
URLhttps://tinyurl.com/mw9hxbhp