生成AIで失われた家族写真アルバムを再構築する試み
MARIA MAVROPOLOUによる展覧会「IMAGINED IMAGES」がJinny Street Galleryで2025年10月23日から11月23日まで開催されている。本展は失われた家族写真アルバムを生成AIによって再構築するプロジェクトであり、記憶と記録、現実とフィクションの関係を問い直す内容となっている。
Mavropoulouは代々移動を繰り返してきた自身の家族が抱える「喪失」と「欠如」の歴史に向き合い、失われた写真を、家族から語り継がれた物語をもとにAIで生成した。そこに現れるのは、実際に起きた瞬間、想像した瞬間、語られた瞬間、願った瞬間、そして決して起こらなかった瞬間までもが混在する、複層的な時間のイメージである。
写真とは、ある特定の瞬間を記録した参照点であり、家族写真は「自分が誰で、どこから来たのか」を示す個人的アーカイブでもある。だがMavropoulouの手によって生成されたこれらのイメージは、もはや現実と結びついた証拠ではない。彼女は問いかける。「これらの写真のような画像には、果たしてどんな意味があるのか?」「彼らはどんな記憶を宿しているのか?」「そして、誰がこれらのイメージを受け継ぎ、大切に思ってくれるのか?」
本展における制作プロセスは感情的であると同時に、学びと癒やしを含む経験でもあったという。写真と記憶が持つ意味があいまいになりつつある現代、現実の写真と区別がつかない生成画像によって「人生の物語を書き換える」とはどういうことか――Mavropoulouはその問いを観客にも共有している。
MARIA MAVROPOLOU プロフィール
MARIA MAVROPOLOU(1989年生まれ)は、ギリシャ・アテネを拠点に活動するビジュアル・アーティスト。写真を起点としつつ、VR(バーチャルリアリティ)、スクリーンショット、GAN(敵対的生成ネットワーク)、AI生成画像など、テクノロジーを介した新しい写真表現を実践している。彼女の作品は、接続されたデジタル機器によって形成される現実と、物理空間および仮想空間の間に生まれる緊張関係に着目しており、ポストSNS時代のデジタル・アイデンティティ、アルゴリズムの偏り、ネットワーク文化における自己表象などを主なテーマとして扱っている。近年は、人工知能と神秘性、宗教的概念、魔術的イメージの関係にも着目し、合成画像が台頭する時代における「写真の未来」を探求している。
MARIA MAVROPOLOU「IMAGINED IMAGES」開催概要
| 会場 | Jinny Street Gallery |
| 会期 | 2025年10月23日(木)から11月23日(日)まで |
| 時間 | 12:00〜19:00 |
| 休廊 | 月曜・火曜 |
| URL | https://tinyurl.com/zrd53jhk |

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