『UNLEARNING』をテーマに開催し国内外1,031件の応募作品から選出
コクヨは次世代を担うデザイナーを発掘と商品化を通じた活躍支援を行う「コクヨデザインアワード2022」を開催し、国内外58か国から応募された合計1,031点(国内555点、海外476点)を審査した結果、受賞作品計4作品を決定した。19回目を迎えたコクヨデザインアワード2022のテーマは『UNLEARNING』。
これまで疑うことのなかった知識や感覚、積み上げた経験を一度リセットし、未来を思い描く中で求められるプロダクトのデザインを募集した。最終審査では昨年11月の一次審査およびパテント調査を経て選出された10作品のプレゼンテーションと模型審査が行われ、審査員による最終審議によって受賞作品を決定した。授与されたトロフィーと表彰状もテーマ『UNLEARNING』に即してその在り方を新たにデザインし、リモート時代でも喜びを分かち合えるバーチャルなトロフィーとトロフィーにアクセスする「カードキー」としての表彰状となっている。トロフィーは月初から毎日形が変化して月末には応募総数1,031個の要素を持ったトロフィーが完成し、年間では12か月分12種類のトロフィーを楽しめる。全ての変化を見せた1年後にはNFTを付与した3Dデータが受賞者に贈られる予定。表彰状はルーツである青銅器に立ち返り、紙ではなく銅板で仕上げた。表面には富山高岡銅器の着色技術を用い1枚1枚風合いの異なる表彰状となっている。
受賞作品詳細
グランプリ
「Flow of Thoughts」は思考を整理するための日記であり、マキシマリストな世界のためのミニマリストな手帳。日々必要ない言葉は落書きとして吐き出し、重要なものを書き留める。 頭の中でざわめく声を鎮め、意味のある記憶を形づくりながら心の負担を減らすこと。考えを厳選することで思考のミニマリストになることが大切。「Flow of Thoughts」は自分磨きのツール。思考を大切にし、文を綴る。
作者:Emilie & Joseph (Emilie-Marie Gioanni、Joseph Chataigner)
優秀賞
色々な形と香りのお香ブロックを組み合わせ、これから過ごす1時間をデザインするお香時計。慌ただしく過ぎゆく日常の中で自分のリズムを取り戻してほしいという思いから生まれた。移ろいゆく香りは嗅覚を通して時間経過を優しく感じさせ、同時に気分をも変えていく。絵や文章をかく時間、読書の時間、マインドフルネスやヨガ、アウトドアでのひと時など、自分らしい時間を過ごす時に使用するよう作られている。
作者:mrk(武市 美穂、上田 和実、小林 諒)
さまざまな質感を描くことができる画材セットの提案。性質が異なる同色の画材で描画することで、素材感やマチエールといった、普段は意識していなかった「質感の世界」を広げてくれるプロダクト。色使いが得意な画家がいるように、質感を使うことが得意な画家が出てくるかもしれない。色に違いがあるように、質感の違いを遊ぶ子供がいるかもしれない。モノを色で選ぶように質感により注目して選ぶようになるかもしれない。多色な画材で絵を描くことが当たり前であるが、このプロダクトをきっかけに多質な画材で絵を描くことも当たり前になる未来が訪れてほしいという希望が込められている。
作者:21B STUDIO(時岡 翔太郎、コエダ 小林、有村 大治郎)
種や房といった果実の構造を模したシェイカー。振ったり転がしたりすることで果実ごとに個性ある音を奏でる。形から音を音から中身を想像する体験によって「目で聴く」「耳で視る」といった知覚の相互作用を促し、五感の学びほぐしを行うプロダクト。楽器で五感を楽しむ体験が想像することの豊かさに繋がるよう期待されている。
作者:21B STUDIO(時岡 翔太郎、コエダ 小林、有村 大治郎)
コクヨデザインアワードについて
コクヨデザインアワードは、ユーザー視点のものづくりの推進を目的に2002年にスタート。以後ほぼ毎年開催し今回の開催で19回目を迎え、国内のデザインコンペティションの中でも歴史あるコンペティションとして認知されている。受賞作品の商品化検討を前提にしたコンペティションは国際的にも珍しく、また審査員には国内外で活躍するトップクラスのクリエイターを迎えていることから近年は海外からの応募者が半数近くを占めるなど国際的なコンペティションとして発展している。商品化されたアイテムの中には、MoMAのパーマネントコレクションに認定された「カドケシ」や国際的な広告やデザインの賞を多数受賞した「なまえのないえのぐ」、iF Design Awardを受賞した「本当の定規」などがあり、そのほかにもこれまでに20作品の商品化を実現している。商品化プロセスにおける受賞者との協業を通じて若手デザイナーの成長の支援や活躍の礎づくりにも力を入れている。