デザインに対する知識と理解を深め、体験できるフェスティバル

今年で14回目を迎えるデザインTOフェスティバルが2024年1月19日から28日までカナダ・トロントで開催される。このフェスティバルでは、300人以上のアーティストやデザイナーによるウィンドウ・インスタレーション、ツアー、トークショー、展覧会などの100以上の無料イベントがトロント市内で予定されている。

2024 DesignTO look & feel
Photo credit: Amir Khoshnevis and Aaryan Pashine with aftermodern.lab

10日間にわたる本フェスティバルはアート、デザイン、テクノロジー、文化の相互関係を紹介し、コンテンポラリーデザインの多様性を反映するものとなっており、物質と非物質の探求、AIとビデオゲームの仮想世界への旅、スタジオツアー、学際的な対話、製品発表会、パーティー、そして過去から未来にかけての一連の作品展示など、興味深いプロジェクトが行われる。

より良い未来をデザインするために人々を結びつけることが原動力のフェスティバルを主催する非営利団体デザインTOは、一般の人々のデザインに対する知識と理解を深め、デザインを共有し、包括的な体験とし、持続可能かつ公正で楽しい世界を創造する上でのデザインの役割を前面に押し出すために、無料の展示会、プレゼンテーション、教育プログラムをオンラインおよび各会場で企画・開催する。詳細情報は公式サイトから閲覧できる。

Elsewhere Collective, 'Crack in the Case' installation, Nuit Blanche 2023
Photo credit: Image courtesy of 'DesignTO Launch Party' installation artists elsewhere Collective

Elsewhere Collective, 'Crack in the Case' installation, Nuit Blanche 2023
Photo credit: Image courtesy of 'DesignTO Launch Party' installation artists elsewhere Collective

フェスティバルのバックボーンとして据えられている3つの柱「喜び」、「正義」、「持続可能性」に基づく展示とイベントを紹介する。

喜び

部屋は家であり、遊び場でもある

モントリオール、トロントを拠点に活動するクリエイティブ集団、スタジオ・ラットが主導しエース・ホテル・トロントがプロデュースするプログラム。初日にはコラボレーターとの対談も予定されている。

StudioRat, 'Garden of Inflated Delights', Ace Hotel 2023
Photo credit: Image courtesy of 'A room is a home, is a playground' installation

ルーシッド・アイデア

素材と形を通して、半透明の特性は隠したり、拡散させたり、明らかにしたりするユニークな視覚的成果を生み出すために使用される。光を曖昧にするプロセスはどこまで変容させることができるのだろうか。この展覧会では、ホームウェアのデザインにおいて半透明性がどのように考慮されうるか、9つのプロトタイプの例を紹介する。

Lucid Ideas
Photo credit: Image courtesy of 'Lucid Ideas' exhibition partner Umbra

正義

ゴールデン・ビューティー・サプライ

アーティストのエヒコ・オデは、カナダにやってきたばかりの頃コミュニティを見つけることに苦心した。髪を編むことで街でのつながりを育んだ彼女の作品は、親密さ、脆弱さ、信頼の瞬間を生み出す黒人の髪への関心を探求している。1970年代の美容用品や広告に彼女の作品が採用された様子を楽しめる。

Golden Beauty Supply
Photo credit: Image courtesy of 'Golden Beauty Supply' collaborators Ehiko Odeh & MCA Gallery

アイデア・フォーラム：想像空間の建築

トロント建築家協会とのパートナーシップで開催される「アイデア・フォーラム」では、現実とバーチャルの建築環境の交差点を探る5つのプレゼンテーションがテンポよく行われる。テクノロジーは私たちの（建築的）想像力をどのように広げることができるのか。バーチャルと非バーチャルの世界のギャップの縮小が労働、安全、作家性に与える影響について論じられる。

アーバン・キャンバス：パブリック・アートとクリエイティブ・メディアを通して若者に力を与える

若者たちはコミュニティや都市のデザインプロセスに有意義な貢献をする可能性を秘めている。このパネルディスカッションでは、都市プランナー、アーティスト、コミュニティ・オーガナイザーを交え、多様な若者の声をコミュニティづくりに取り入れるためにアートを効果的に活用した説得力のあるケーススタディとベストプラクティスを探る。

Bartlett March Urban Design – Videogame Urbanism Student Exhibition, 2017
Photo credit: Image courtesy of ‘Ideas Forum: Architecture of Imagined Spaces’ speakers, You+Pea

Youth Street Art
Photo credit: Image by 'Urban Canvas: Empowering Youth Through Public Art and Creative Media' organizers Urban Minds.

サステナビリティ

サーキュラー・リビング・ラボ（CLL）

解体工事は気候危機の中で不必要なエネルギー、炭素、物質の無駄を生み出すと同時に、その場所に埋め込まれた文化的、社会的な物語をも消し去ってしまう。CLLはトロントの循環型建設と都市鉱山のインキュベーターとして、既存のものの文化的・環境的可能性を活用する革新的なデザイナーを支援することを目的としている。

Circular Living Lab
Photo credit: Image courtesy of 'Circular Living Lab' participant Stephanie Mah, Giaimo Architects

デザインTOトーク

9回目となるデザインTOの年次シンポジウムでは、8人の学際的な専門家が集まり、ますますデジタル化する世界における脱物質化の複雑さを探求する。

Particulate Signals by Alex Yueyan Li.
Photo credit: Photo by Naho Kubota, courtesy of 'DesignTO Talks: Dematerialized' speaker Alex Yueyan

未来を考える

素材は複雑な物語を運び、その中には歴史が埋め込まれている。国内外の8人のデザイナーやアーティストの作品を集めたこの学際的な展覧会では、植民地主義、持続可能性、素材の文化的意義と土地固有の性質、テクノロジーと手作業による技術の相互作用、伝統的な文化的慣習の活性化など、相互に関連するテーマを取り上げている。

Morgan Possberg Denne. ‘Old friend’, 2023.
Photo credit: Photo by Greg Ellison, courtesy of 'Future Matters' exhibitor Morgan Possberg Denne

Yassine Ben Abdallah. ‘The Bittersweet Memory of the Plantation’, 2022
Photo credit: Photo by Florian Lafosse, courtesy of 'Future Matters' exhibitor Yassine Ben Abdallah

デザインTO

展覧会、プレゼンテーション、教育プログラムをキュレートする非営利団体。持続可能で、公正で、楽しい世界を創造するためのデザインとその役割について一般の人々の知識と理解を深めることを目的としている。創造的思考と制作の学際的形態としてのデザインを称える、カナダを代表する最大の年次デザイン・フェスティバル「デザインTOフェスティバル」の主催で最もよく知られている。本フェスティバルでは毎年1月にトロントのデザイン・ウィークを形成する100以上の無料展示やイベントを開催している。