写真のように瞬間的で冷徹な視点で風景を切り取る
ギャラリーのこぎりはフランスの陶芸家 / 画家 マリーナ・ル・ギャルの個展「どうして僕はこんなところに」を開催する。本展は彼女にとって日本で2度目の個展であり、絵画作品にフォーカスしたものとしては初の作品展となる。
偵察用のドローン、あるいは動物型アンドロイドが撮影した写真のように瞬間的で冷徹な視点で風景を切り取りながら、人間の脳で判断することを拒否し、これまでの経験値を集めたデータによるあらゆる判断を拒否する。死であれ、生であれ、そこには大きな悲しみも特段の喜びもない。人間は何歩も下がって、その当たり前の流れを観察しながら背後にある大きな力とかすかな血の匂いを感じる。マリーナは自然や動物をテーマに描くということは筋の通ったストーリーに沿うのではなく矛盾を受け入れることだと語る。ストーリーも矛盾も人間だけが気にする事であり、それらを捨て去ったところに彼女の絵が存在し、抜け殻になった人間の肉体は返り血のように絵の具を浴びて彫刻になる。あらゆる自然と生命から隔絶されてしまった私たちは、今、どうしてこんなところにいるのかを考えさせられる展示会となっている。
マリーナ・ル・ギャル | Marina Le Gall プロフィール
1986年フランスのブルターニュ地方カンペールレの農家に生まれ、幼少期を動物に囲まれて過ごす。父の狩猟に同行し、死にゆく動物たちを記録していたことが、現在の彼女の表現につながっている。高校卒業後パリ国立高等美術学校で陶芸を学ぶ。シドニー芸術大学への留学を経て、DNSAP(le diplôme national supérieur d'arts plastiques 、フランスの全国職業資格の芸術分野の資格)を取得。以降、パリ、ロンドン、ブリュッセルなど世界各地で展示を開催。2016年にパリ郊外の森の中で製作した高さ3mに及ぶ巨大な作品〈Hannibal〉のプロジェクトは国内外で注目を集めた。
「どうして僕はこんなところに」開催概要
会期 | 2024年6月21日(金)から8月12日(月)まで |
会場 | のこぎり |
時間 | 12:00 ~ 19:00 |
休廊 | 月・火 (祝祭日の場合は開廊) |
予約 | 水・木・金:12時-19時は要予約 |
URL | https://tinyurl.com/53zrt8wy |