第24回「Montréal en Lumière」がモントリオールのダウンタウンに賑わいを呼び戻す
モントリオールのダウンタウンを音楽と光の共演で灯す第24回「Montréal en Lumière」は、2023年2月16日から3月5日まで、Quartier des Spectaclesで開催される。2022年に始まったSkating Loopは、カナダ・ケベック州経済開発庁(CED)とモントリオール観光局の主要支援を受けて制作されたユニークなマルチメディア体験で、昨年は約2万5000人の地元のスケーターが訪れた。いち早く「Montréal en Lumière」フェスティバルの目玉イベントとなった、このケベックの「技術の集大成」が、今回は世界に向けて初めて披露されることになった。
史上初の試み
冬を愛するモントリオールの人々の精神をコンセプトに作られたスケートループは、都市空間でスケーティングを体験できる魅力的な空間を提供する。刺激的な音楽と遊び心に溢れたライティングの共演で人々を鼓舞し、パンデミック後に空き地となった空間に賑わいを呼び戻す。寒さを感じさせない暖房設備が完備され、快適なスケーティング体験が保証されたなかで、人々の五感すべてが刺激される。
地上2.5mの高架からは、息を呑むような都会のパノラマが広がる。ワイルダービルやUQAMケネディパビリオンなど、周囲の建造物のファサードには大型映像が投影され、スケーターはその美しい情景に魅了されるだろう。また、何百ものLEDチューブライトが氷のコースを幻想的に彩り、最新鋭のサウンドシステムからは、このイベントのために編集されたプレイリストが流れる。
スケートループの周囲には、利用者が寒さを感じずにスケート靴を履ける暖房付きの空間や、ビストロSAQの暖房付きテラスなど、スケーターが快適に過ごせるよう特別に設計されたオアシスが用意されている。
スケートループの特徴
- 300mの人工氷で構成
- 冷却マットの上には85㎥の氷が設置
- 地上2.5mの高架構造により都会のパノラマを提供
- 通路は265個のLEDチューブライトで照らされている
- 周囲の建物のファサードに巨大なプロジェクションを投影
- 最新鋭のサウンドシステム
- カナダで唯一、特注の「ザンボーニ」(整氷車)で整備
モントリオール人のDNAに刻まれた伝統、「スケート」
最高経営責任者であるジャック・プリモーが立ち上げたプロジェクト「Montréal en Lumière」は、今年で24年目を迎える。24年の歴史のなかで、プロジェクトは北欧をテーマにしたイベントやイルミネーション・アニメーションなどを経験し、その専門性に磨きをかけてきた。モントリオールとスケートの歴史的な深い繋がりを考えても、フェスティバルの中心的な活動にスケートが据えられるのはごく自然な流れであったと言える。
公共のスケートリンクは、昔からホッケーのような活動によって地域社会をひとつにまとめてきた、社会文化的に重要な場所であった。「真のモントリオールらしさ」の象徴であるホッケーは、大小さまざまなアリーナで常にプレイされてきた。アーティストKarine Lanoie-Brienによる作品「Montréal d'hier et d'hiver」は、カナダ国立映画制作庁(NFB)のアーカイブ画像を使用し、モントリオールとスケートの長い愛の物語を記録したもので、スケートループの周りに大型プロジェクターでこの豊かな歴史を表現している。
技術的な課題を見事にクリア
今回のスケートループのような精巧で大胆なプロジェクトを実現するためには、さまざまな課題があった。フェスティバル広場全体を占めるこのインスタレーションは、氷上のスケーターだけでなくスケートリンクの外から眺める人々にとっても視覚的にインパクトのあるものでなければならなかった。さらに、この空中構造物のデザインは、見学者の体重、4インチの氷、冷却水、そして3700Kgのザンボーニ(整氷車)の重量も支えなければならなかった。2022年には、1時間あたり250~300人という驚異的な来場者数を記録したため、氷の再舗装が頻繁に必要となった。
Montréal en LumièreのチームとサプライヤーのÉchafauds Plusは、クリエイティブな思考、膨大な量の緻密な計算、そして関係者の創意工夫により、視覚と聴覚に訴える空中構造物を実現。この技術的課題を見事に解決し、フェスティバル広場を冬の集いの場として、幻想的で心地よい場所にすることに成功したのだ。このプロジェクトによって、従来のスケート体験は更に次のレベルに引き上げられたのである。
更新されるスケート体験
2022年には、約25,000人のスケーターが魔法のようなスケートループの体験を楽しんだ。発表されるやいなや、イベントのソーシャルネットワークには通常の153倍ものアクセスがあり、その人気は明らかだった。
このマルチメディア・インスタレーションは、真冬の都心を照らし、人々をワクワクさせ、そして再び市民の元に公共空間を呼び戻すことに成功した。また、Montréal en Lumièreの社会的使命の一環として、CCMが提供するスケートの無料レンタルなど、いくつもの無料アクティビティを通じて、できるだけ多くの人がこの場所にアクセスできるようにし、誰もがモントリオールならではの体験ができるように努めている。
今年もその精神は受け継がれ、スケートループは「Montréal en Lumière」フェスティバルの代表的な活動のひとつとして戻ってくる。
Montréal en Lumièreについて
Montréal en Lumièreは、モントリオール観光局、Chambre de commerce du Montréal métropolitain、モントリオール市、ケベック州政府など、モントリオールのダウンタウンを支援する主要機関の協力のもと、2000年にAlain Simardによって設立されたフェスティバル。寒い季節に街を活性化させたいという思いから、「Montréal en Lumière」は、今では世界最大級のウィンターフェスティバルとなり、毎年数千人の観客をを動員している。地元の食文化の粋を集めたガストロノミー・プログラムや、街中に設けた無料の屋外スポットなどを通じて、毎年何百ものアクティビティが提供されている。会場内には、ユニークな空中スケートのコースがあり、屋内ショーも必見。中でも、Nuit Blancheでは、夜通し楽しめるイベントが街中の至る所で繰り広げられ、幅広いカルチャーアクティビティを提供している。