「芸術とは何でありうるか」という問い
「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」が東京都現代美術館で2025年12月25日(木)から2026年4月2日(木)まで開催される。ソル・ルウィットは20世紀後半を代表するアメリカ出身のアーティストで、本展は日本の公立美術館で初の個展開催となる。
ルウィットは1960年代後半、目に見える作品そのものよりも、作品を支えるアイデアやそれが生み出されるプロセスを重視する試みによって、芸術のあり方を大きく転換した。ルウィットの指示をもとに、ほかの人の手で壁に描かれるウォール・ドローイング、構造の連続的な変化を明らかにする立体作品など、その仕事は「芸術とは何でありうるか」という問いを投げかけている。本展では、ウォール・ドローイング、立体・平面作品、アーティスト・ブックといった代表作の数々を通して、既存の枠組みや仕組みに再考を促し、別の構造への可能性を開こうとしてきたルウィットの思考の軌跡をたどる。

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置》初回展示1976年
2017年イェール大学美術館ウェストキャンパス・コレクションセンター
(コネチカット州ウェストヘイブン)での展示
© 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York.
Courtesy Paula Cooper Gallery.

ソル・ルウィット《ストラクチャー(正方形として1, 2, 3, 4, 5)》1978-80年、滋賀県立美術館蔵
© 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS),
New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング
#1164 ドローイング・シリーズ I 2 (A & B)》 構想1969年、初回展示2005年
2010年グラッドストーン(ブリュッセル)での展示
© 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights
Society (ARS), New York. Courtesy Paula
Cooper Gallery.
ソル・ルウィット

《ウォール・ドローイング #66》を制作中のソル・ルウィット
(グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、1971年)
© 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New
York. Courtesy Paula Cooper Gallery.
1928年 米国コネチカット州ハートフォード生まれ
1945年 シラキュース大学に入学し、絵画と版画を学ぶ(1949年卒業BFA)
1951年 選抜徴兵制により米国陸軍に所属し、朝鮮戦争期にカリフォルニア、日本、韓国に派遣される
1953年 除隊後、ニューヨークに拠点を移す
1954–55年 商業雑誌の製版の仕事を経て、I・M・ペイの建築事務所でグラフィック・デザインの仕事につく
1960年 ニューヨーク近代美術館で書店員や夜間受付係として働く傍ら、絵画を制作
1965年 初個展(ジョン・ダニエルズ・ギャラリー、ニューヨーク)
1966年 「Primary Structures」(ユダヤ美術館、ニューヨーク)
1967年 コンセプチュアル・アートについてのパラグラフ」を『アートフォーラム』夏号に発表
1968年 「Art of the Real」(ニューヨーク近代美術館)
「ベトナム戦争終結のための学生動員委員会への支援展」 (ポーラ・クーパー・ギャラリー、ニューヨーク)にて、ウォール・ドローイングの一作目を発表
1969年 「Live In Your Head: When Attitudes Become Form」(ベルン美術館)
1970年 「第10回日本国際美術展 人間と物質」(東京都美術館)参加のため来日、「Information」(ニューヨーク近代美術館)
1976年 ニューヨークのソーホーにルーシー・リパードらと「プリンテッド・マター」を共同設立
1978年 初回顧展(ニューヨーク近代美術館)
1980年 イタリアのスポレートに拠点を移す
1984年 個展(アムステルダム市立美術館)
1986年 コネチカット州チェスターに拠点を移す
1990年 個展(東高現代美術館、東京)
1994年 個展(ハーグ市立美術館/オックスフォード近代美術館/ポンピドゥー・センター、パリほか)
1996年 「レボリューション/美術の60年代 ウォーホルからボイスまで」(東京都現代美術館)
2000年 回顧展(サンフランシスコ近代美術館/シカゴ現代美術館/ホイットニー美術館、ニューヨーク)
2007年 ニューヨークで死去(享年78歳)
「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」開催概要
会期 | 2025年12月25日 (木)~2026年4月2日(木) |
時間 | 10:00~18:00(展示室入場は閉館の30分前まで) |
会場 | 東京都現代美術館 企画展示室 1F |
休館日 | 月曜日(1月12日、2月23日は開館)、12月28日~1月1日、1月13日、2月24日 |
料金 | 一般1,600円/大学生・専門学校生・65歳以上1,100円/中高生640円/小学生以下無料 |
URL | https://tinyurl.com/4rnjcspp |