「土味(つちあじ)」を感じる

陶芸家・小野象平個展「Kaiki - Borderless 2025 -」がCIBONE(表参道)で2025年1月17日(金)から2月2日(日)まで開催される。高知県香美市にて自ら山で土を掘り、釉薬の原料を一から作る器作りを実践する小野象平による、茶碗や湯呑みなど日常を彩るうつわからアートピースのような存在感のある壺まで、幅広く紹介される。

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本展では原点回帰をテーマに、土本来の特性「土味(つちあじ)」が感じられる450点もの作品が並べられる。

出展作品

青灰釉

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自ら掘った高知の赤土に、杉などの灰と鉄分が融合する事で生み出された青や黒、グレーや白など複雑かつ豊かな表情が特徴的。力強い作風の中にある深い色合いは、見るものを引き込み衝動的な気持ちに駆り立てられる。

黒化粧

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化粧土の上から酸化鉄を大量に加えた灰釉薬をかけ、1250℃の無酸素状態で8時間から10時間ほど焚き上げる。長時間高温で焚くことで、ガラス質が流れ出し、すい込まれそうな豊かな鉄模様のグラデーションが現れる。

白化粧鬼板壷

白化粧は粉引とも呼ばれ、赤土や黒土で作った土台の上に、白い泥と釉薬をかけて焚いている。焼成の回数を増やし、ところどころに見られる鉄点をより激しく噴出させ、表面を覆うような土味を感じる表情と、うっすらと緑や青みを感じる白化粧のコントラストが美しい壺。

黒志野のリム皿

日本の伝統的な志野釉に鉄分を加え、長時間の焼成を5回繰り返すことで鉄分が染み出した、独特のテクスチャーと深みのある黒。青と金色、マットとメタリックの結晶が何層にも重なり織りなす色は、角度によってその輝きを変え、しっとりとした質感もまた魅力のひとつ。フラットな形状のリム皿は、本展にて披露する新作。

小野象平

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Photo: Akihide MISHIMA

1985年愛知県に生まれ、高知県香美市にて作陶を行っている。父である陶芸家・小野哲平氏の元でものづくりの姿を見て育ち、独立した後は自ら山に土を掘り、釉薬の原料も一から作る器作りを実践している。しっかりとした手取りと、無理のないかたち、そしておおらかで素朴な美しさの中に使う人を包みこむ優しさを感じることができる。

小野象平個展「Kaiki - Borderless 2025 -」開催概要

会期2025年1月17日(金)~2月2日(日)
時間11:00~20:00
会場CIBONE(表参道)
URLhttps://tinyurl.com/mr3va3zs