無秩序と調和の間にある緊張関係を追求

高橋盾の個展「Peaceable Kingdom」が香港 WKM GALLERYで2024年10月25日(金)から12月14日(土)まで開催される。高橋はファッションブランド「UNDERCOVER」の創設者でもあり、ファッションの仕事と並行して10年以上絵画を描き続けてきた。

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Jun Takahashi, Lonely Man, 2024, Oil on canvas, 100 x 100 x 4.5 cm, 39 37/100 x 39 37/100 x 1 77/100 in, (JT_0009).
Courtesy of the artist and WKM Gallery

本展では新作が展示され、UNDERCOVERの2025年春夏メンズコレクションのモチーフとなった3点のキャンバス作品も初めて公開される。現代の混沌とした世界と、アーティストの深い平和への願いの間にある葛藤が描かれる。

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Jun Takahashi, Room of abandonment, 2024, Oil on canvas, 100 x 100 x 2.5 cm, 39 37/100 x 39 37/100 x 49/50 in, (JT_0011).
Courtesy of the artist and WKM Gallery

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Jun Takahashi, Future Days, 2024, Oil on canvas, Framed, 48.6 x 41 x 6.7 cm, 19 13/100 x 16 7/50 x 2 16/25 in, (JT_0002).
Courtesy of the artist and WKM Gallery

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Jun Takahashi, Poison Apples, 2024, Oil on canvas, 162 x 130 x 4.5 cm, 63 39/50 x 51 9/50 x 1 77/100 in, (JT_0008).
Courtesy of the artist and WKM Gallery

夢のような風景の中に描かれた歪んだ肖像や抽象化された人物像、林檎や雲といったモチーフが点在し繰り返し描かれるが、これらのモチーフは高橋の映画的な人物画作品にも登場する。高橋の人物画には、精神的苦悩や実存的恐怖というテーマが投影されたディストピア的なフィクションや不気味なシーンが表現されたものもあれば、日常生活の中の個人的かつ親密な側面からもたらされたサブカルチャー的なものも見られる。何十年にもわたり美とグロテスクの境界を曖昧にしてきた高橋は、この展覧会を通して人間の精神に対する深い探求を続けている。

高橋盾

1969年群馬県生まれ。 アーティスト、UNDERCOVERのファッションデザイナー。90年代・裏原系ストリートファッションの中心的存在であり、その多作で批評的な作品はハイファッションとしても高く評価されている。しばしばダークでシュルレアルと形容される折衷主義的ビジョンは一貫して「反 (アンチ) 」の態度から生まれるものであり、パンクの反抗的スタイルと精神のもと音楽やアートの百科事典的参照によって正統を転覆させる。美術における探求もファッションでの活動と密接に結びついている。不気味さと幻想性を立ち上がらせるグラフィック的感性は既存の美と慣習を揺るがすフリンジカルチャーを彷彿させ、絵画作品には高橋の過去のクリエイティブの核となる要素が反映されている。

高橋盾の個展「Peaceable Kingdom」開催概要

会期2024年10月25日(金)から12月14日(土)
時間11:00~19:00
会場WKM GALLERY
休廊日日月祝日
URLhttps://tinyurl.com/4n989zc5