空間の流動性と静かな美意識を再構築

カナダ・モントリオールを拠点とするインテリアデザインスタジオIndee Designは、住宅リノベーションプロジェクト「Plateau Kyoto Residence」を発表した。建築家・インテリアデザイナーのFlorence Charronが率いる同スタジオは、日本的ミニマリズムと1970年代のレトロな感性を融合させながら、家族4人のための住空間を再構築した。既存住宅の魅力を残しつつ、光や動線、収納計画を再編成することで、今後20年にわたり快適に暮らせる住環境を目指している。

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Photo credit: Caroline Thibault

光と流動性を生み出す空間構成

本プロジェクトでは、住まい全体のボリューム構成を見直し、より直感的で流動的な生活動線を形成している。階段位置を再設計することで上下階のつながりを強化し、リビング空間を拡張。室内は庭へ大きく開かれ、内外が穏やかにつながる構成となった。Florence Charronは「流動性、光、効率性を共存させながら、既存建築の魅力を高めることを目指した」と語る。

日本的ミニマリズムと温かみのある素材感

空間デザインは“less, but better”の思想を軸に、日本建築に通じる静けさと温かみを併せ持つ。家具はすべてオーダーメイドで設計され、建築と一体化するよう細部まで調整されている。増築部分には、窓辺に浮遊するようなベンチを配置。壁面のアルコーブには盆栽を設え、瞑想的な空間を演出した。メープル材の収納棚や映像機器を組み込んだ収納ユニットが、空間に柔らかなリズムを与えている。また、塗装スチール製の階段はガラスブロック上に設置され、軽やかな印象を生み出すと同時に収納機能も内包。キッチンでは既存のウォールナットキャビネットとステンレスカウンターを再利用し、新たなセラミック素材を組み合わせることで現代的な表情へ更新している。

家族の時間を育むデザイン

ダイニングには円形のメープル製バンケットを設置し、家族が自然と集まる場を形成した。回転式テーブルを中心に据えることで、食事や会話、共有の時間を促している。子どもたちのプレイエリアは、自然光が差し込む壁際に組み込まれた。クライミングホールドや本棚を備えた合板パネル、ワークショップを思わせる有孔ボード壁面など、遊びと創造性を刺激する要素が空間に溶け込んでいる。さらに、階段にはミニカー用のスライドを設置するなど、細部には遊び心が散りばめられている。

アートと色彩がもたらす個性

空間にはヴィンテージ映画ポスターや「Machines de Nantes」を想起させるモンスターイメージ、Sticky Peachesによる作品など、多様なアートが配置されている。異なるテイストを横断しながらも、選び抜かれたシグネチャーカラーによって空間全体に統一感を与えている。Indee Designは本プロジェクトを通じて、単なるリノベーションではなく、住まう人の感情や日常体験に寄り添う空間設計を提示している。

Indee Design

Indee DesignはインテリアデザイナーFlorence Charronによって2018年に設立されたモントリオール拠点のインテリアデザインスタジオ。クライアントのライフスタイルやウェルビーイングを重視し、クラシックからコンテンポラリーまで多様なスタイルを横断する空間設計を行う。住宅・商業空間を中心に多数のプロジェクトを手がけ、複数の国際的アワードを受賞している。