大島渚の映画人生を貫く挑戦的な知性と行動の足跡を明らかにする展覧会
国立映画アーカイブ 展示室にて、展覧会「没後10年 映画監督 大島渚」が2023年4月11日から8月6日まで開催する。監督が自ら体系的に遺した膨大な作品資料や個人資料をベースに、その挑戦的な知性と行動の多面体に迫るものであり、企画の監修にはそれら資料を明るみに出した大著『大島渚全映画秘蔵資料集成』(2021年)の編著者・樋口尚文を迎え、同書の構成を踏襲しつつ当館独自のコーナーも加えて、苛烈な映画人生を俯瞰する。
絶えず映画の自由を追い求め、作品ごとに主題やスタイルを刷新しながら、時に社会の暗部をえぐる反逆者として、また時に映画の常識を破る冒険者として屹立する巨人、映画監督大島渚(1932-2013)を日本が失ってから早くも10年の歳月が経った。若き日に松竹撮影所で生み出された鮮烈な『青春残酷物語』(1960年)や『日本の夜と霧』(1960年)、自ら興したプロダクション「創造社」を基盤に次々と送り出された『絞死刑』(1968年)、『少年』(1969年)、『儀式』(1971年)といった問題作、そして世界をセンセーションに巻き込んだ国際的合作『愛のコリーダ』(1976年)や『戦場のメリークリスマス』(1983年)――大島の作品群は日本の映画界ばかりか、日本社会そのものに大きな刺激を与え続けた。
見どころ
- 没後10年を迎えてなお声望高まる名匠・大島渚の豊饒な映像世界とその創作の舞台裏を、監督本人が体系的に遺した膨大な資料によって解き明かす。
- 「キネマ旬報」誌が選ぶ「映画本大賞2021」で第1位を獲得した、樋口尚文氏の巨著『大島渚全映画秘蔵資料集成』の構成を踏襲、同氏と検討を重ねて同書掲載の膨大な資料群から厳選した重要資料を展示することで、大島の映画人生を一望。
- 資料群の中でも、これまで一切が現存しないと伝えられてきた美術監督・戸田重昌に関する各資料はきわめて貴重な存在。『白昼の通り魔』から『戦場のメリークリスマス』に至る大島作品に関連したそれらの資料は、不世出の映画美術家の独創性を明るみに出す。
- 会場では大島監督作品劇場予告篇集のほか、大島映画を彩った五人の作曲家たち(真鍋理一郎、林光、武満徹、三木稔、坂本龍一)の音楽も視聴でき、大島の作品世界を映像・音響の両方から体験できる。
構成
- 第1章 出生から学生時代、そして撮影所へ
- 第2章 ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として
- 第3章 松竹退社と模索の季節
- 第4章 独立プロ・創造社の挑戦
- 第5章 創造社の解散と国際的活躍
- 第6章 大島映画の美的参謀、戸田重昌
- 第7章 幻の企画と晩年
展覧会「没後10年 映画監督 大島渚」開催概要
会場 | 国立映画アーカイブ 展示室(7階) |
会期 | 2023年4月11日から8月6日まで |
料金 | 一般250円 / 大学生130円 / 65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者 |