モノクロームの黄色で構成された空間が宇宙主義の現代的解釈を提示するパビリオン

モスクワ郊外にロシアの建築事務所Maxim Kashin Architectsが手がけた新たな建築「Yellow Pavilion」が完成した。このパビリオンは鮮烈な黄色に染め上げられたモノクロームの空間で構成され、アヴァンギャルドな建築表現と宇宙主義(コスミズム)の現代的解釈を提示している。この建築は2015年にMaxim Kashin Architectsにより設計された住宅の敷地内に追設するかたちで計画された。

adf-web-magazine-yellow-pavilion2024-22

Photo credit: Dmitry Chebanenko

新たな建築スペースは敷地の入り口に位置し、細長く、隣接する建物との関係性にも配慮する必要があった。建築家はこの条件に対し、敷地の角に「くさび形」のパビリオンを設計することで応答している。クライアントの要望は日常から解放され、空の美しさを楽しめる休息の場を創ることだった。このパビリオンは、当初から完全にリラクゼーションを目的とした空間として構想されている。建築にはすべて金属製ロール材によって構成された技術が採用された。構造要素や外壁は、曲げ加工された金属板を溶接して成形され、傾斜屋根も同様に溶接構造で構成されている。内部はスプレー断熱材で断熱され、外装は白で塗装された。

この空間は、郊外型のレクリエーション施設であり、私的な天文台のような存在でもある。訪れた人々は、黄色に包まれた環境の中で、空への想像をめぐらせることができる。黄色は「志」を象徴する色であり、新たな感情や意欲をかき立てる色として用いられている。内装の素材と色をすべて黄色一色で統一することは難易度の高い試みだが、今回はRAL指定色を使用し、壁・床・家具まで一貫して塗装された。TIKKURILA YKI塗料がこの統一を可能にしている。壁面の丸みを帯びた曲線が空間に可塑性をもたらし、訪れる人に太陽や空、そして宇宙についての思索を促す。すべての家具も金属製で、壁の曲線を踏襲した丸みのあるフォルムを持ち、空間全体と調和するようデザインされている。建築全体のフォルムは直線と曲線を組み合わせた反射的なボリュームとして構成されている。外部の曲線や円筒形の要素はそのまま内部にも展開され、視覚的な連続性と没入感をもたらしている。

内部には快適に過ごすための機能も揃っている。ラウンジスペースと天窓、シャワー付きバスルームにはASKO社とMaxim Kashin Architects による限定エディションのランドリーマシンが設置され、ロシア・アヴァンギャルドとシュプレマティスムに着想を得たグラフィックも施されている。この建築は、芸術・機能・色彩・構造が融合した「個人の宇宙モデル」として構想されている。

Maxim Kashin Architects

Maxim Kashin Architectsは幾何学と光・影の操作を活用し、新しい概念に基づいた空間を創出する建築スタジオ。バーやレストラン、商業施設、公共空間から住宅まで多岐にわたり設計を行っている。代表のMaxim Kashinは、モスクワ建築大学卒業後、2013年にMONOLOKO Design を設立。2019年にはArchMoscowで現在のスタジオ名「Maxim Kashin Architects」として新たな展開を始動した。Architizer A+Awards(2015)、Iconic Awards(2018)、DNA Paris Design Awards(2019・2020)、A’Design Award(2022・2024)など数々の受賞歴を持つ。