多彩な色とパターン、質感で仕上げた、ブルックリンのタウンハウス増築プロジェクト

バーカー・アソシエイツ・アーキテクチャー・オフィス(baao)が手掛けたNY ブルックリンのタウンハウスは、ゴワヌス運河にほど近いキャロルガーデンズ地区に位置している。小さな街の居心地の良さと、都会へのアクセスの良さの両方が満たされる暮らしやすい立地であったため、ここに暮らす4人家族(夫婦と娘2人)は、子どもの成長に合わせて手狭になった家を手放すのではなく、増築することにした。具体的には、キッチンを広げ、娘たちの子ども部屋を大きくし、広さを感じられる空間にした。また、増築の際に最も気を遣ったのは、庭のソーサーマグノリアの樹の生息を妨げずに工事を行い、日光を充分に浴びて、根や枝葉がのびのびと育つことができる環境を整えることであった。鮮やかな色やパターン、多様なテクスチャー、そして居心地のいいスペースを散りばめて仕上げられたタウンハウスは、家族の成長に合わせた魅力的な空間へとスケールアップした。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

客間はスペースを広げ、明るさや眺望を維持しながら、ビルトイン収納を加えるなどして使いやすい空間に。入口にはコートや靴、鍵、本などを収納できるカスタムウォールを増設。既存の階段は、増築されたスペースに合わせて手を加えられ、2階の開放的な空間へ繋がっている。バウワースタジオ製の特注の鏡が、大理石でできた暖炉の上にかけられ、リビングの顔となっている。カスタムキッチンは、ラッカー仕上げの木製キャビネットで、パインの床と合うように柔らかなトーンの色で仕上げている。ダイニングは増築部分に配置され、裏庭に面した窓にはベンチを設置した。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

2階の階段を上った所には、天窓を新設し、1階まで光が届くようにした。既存の手すりは、新しい階段に合うように調整されている。フローリングは、ハートパインを白く仕上げたハドソンフローリングのものを使用。同じハートパインが、廊下の天井と天窓周りにも使われ、空間に統一感をもたらしている。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

スチールと木でできた新しい階段が、2階の客間から庭に続くように設置された。庭に続く1階には、ペグを挿して物をつるす事ができるハンガーボードを設置して、家族の趣味のギアを効率よく収納できるシステムに。庭の横には小さな6角形のペニータイルで装飾したハートパインの小さなキッチンを設置し、ゲストスペースとの間はカーテンで間仕切りできるようになっている。間仕切りされた空間は、通常は夫の仕事場として利用されている。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

特徴的なタイル使いは、無造作なモロッコ調の緑のゼリージュタイルで装飾した浴室と、青と緑のコントラストが目を引く、Cléのセメントタイルを床面に貼った、ラウンジスペースにも見られる。裏庭に面したこのラウンジスペースは、家の中で一段下がった、くぼんだ空間となっており、ビルトインの本棚とラウンドソファが落ち着いたプライベートな雰囲気を演出している。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

庭はブルーストーンのテラスがマグノリアの樹を取り囲むようにカーブして作られ、ブルーストーンの小道が庭の反対側のテラスに続いている。テラスの端には、杉のベンチが独立した居心地のいい空間を作っている。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

痩せた地質と地下水面の高い地形により、増築の際には土台に盛土が必要となった。増築の際の寸法や配置などは専門家である樹医に任せられ、デッキ、ガーデンテラス、植栽に関してもコンサルタントが環境に最適な在来種をチョイスしている。

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Photo credit: Francis Dzikowski/OTTO

バーカー・アソシエイツ・アーキテクチャー・オフィス(BAAO)につて

BAAOは、アレキサンダー・バーカーによって、2006年に設立された建築デザイン事務所。MWBE認定(マイノリティ/女性が所有する企業としてニューヨーク州の認定を受けた)された企業で、主に、タウンハウスや居住地開発の建築、インテリア、ランドスケープ、教育や商業プロジェクトなどを手掛けている。受賞歴のあるスタジオは、知的さとダイナミックさを融合させ、未来の建築を見据えたデザインで、広くコミュニティに働きかけている。