過酷な砂漠環境に古代ペルシャの生存技術を採用したサスティナブルホテル

ホテルはイラン南東部からパキスタンのバルチスタンまで伸びる半砂漠の海岸線であるマクランに位置し、ペルシャ湾とオマーン湾の海岸に隣接している。このプロジェクトは設計プロセスと建築戦略にコンテキストの環境条件に焦点を当てたエコツーリズムリゾートを想定している。文化遺産や、環境的ニーズを優先し、生態学や社会的意識の高い個人にアピールするサスティナブルなホテルだ。主に風、熱、帯水層を使用した最新の風力タワーとカナートシステムを設計することが考慮された。それには暖かく乾燥した砂漠の空気を循環およびリサイクルすることによって砂漠の建物を冷却および換気するために使用される伝統的なペルシャの工法が参照された。

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Photo credit: Margot Krasojevic

砂漠の乾燥に対応するため、換気用のウィンドキャッチャータワー、蒸発冷却の補助、高周波から低周波への放射変換用のソーラーコレクター、カナートが設計基準に使用された。砂漠では気温の変動と環境の多様性により、快適に生き残ることが課題となってくる。そのため、帯水層と井戸を利用して砂漠を越えて水を運び、ホテルのアトリウムと地下に噴水と内部プールとして水を導入し、蒸発冷却を使用して砂漠のホテル全体の温度を下げるという、古代ペルシャの生存技術を用いた。

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Photo credit: Margot Krasojevic

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Photo credit: Margot Krasojevic

縞模様の塔は、涼しい砂漠の床の上に高くそびえ立っており、暖かい空気を捕らえてホテルの地下階に運び、蒸発冷却を使用して水たまりを通過するときに空気を冷却する。太陽からの光エネルギーは熱に変わり、PVCソーラーコレクターに閉じ込められた空気を膨張させて地面から上昇させ、太陽から保護し、太陽電池と圧電セルを使用して電流を生成する。

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Photo credit: Margot Krasojevic

給水システムには、カナートと呼ばれる古代ペルシャのシステムが使用された。カナートは一連のよく似た垂直シャフトであり、緩やかに傾斜したトンネルで接続され、大量の地下水をポンプで汲み上げることなく効率的に地表に供給する。カナートシステムは、灌漑や農業の目的で経済的で持続可能なものだ。環境コンテキストを農地にすると同時に、暖かい砂漠の空気をさらに冷却および換気することができる。カナートは長距離を移動し、人口の少ない地域に到達することができることから、敷地全体に水を分配し、より遠隔地でも、さらに多くの農業集落に水路を提供することができる。

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Photo credit: Margot Krasojevic

一連の円筒形コレクターで作られた、幾何学的に複雑で透明なPVCソーラーコレクターキャノピーは、その表面積から光エネルギーをより効率的に吸収し、熱に変換する目的がある。この設計は、砂漠の遊牧民が使用するテント構造、半導体、およびマイクロコンダクターの現在の技術的進歩の影響を受けている。

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Photo credit: Margot Krasojevic

ホテルの部屋の一部は砂漠に埋もれており、アーチ型の地下アトリウムに面している。浮かぶ天蓋の周りに配置された展望台と集会スペースとして機能するパンクした屋根から自然光が入ってくる。長い廊下は冷やされた空気を循環させ、より涼しい気温を作り出し、厳しい砂漠の太陽から保護してくれる。カナートはホテルの部屋の下を走り、廊下の周りにはよく似た開口部が点在している。ホテルは、砂漠の地下を穏やかに流れる水のプロセスを取り入れている。

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Photo credit: Margot Krasojevic

マーゴット・クラソジェビッチアーキテクツについて

AAスクールの建築とユニバーシティカレッジロンドンで建築教育を修了したマーゴット・クラソジェビッチはザハハディッドアーキテクツと協力し、UCL、グリニッジ大学、ワシントン大学でデジタルおよび持続可能なデザインプログラムを調査。学部長およびマスタースタジオディレクターを務めた。その後、環境問題、再生可能エネルギー、持続可能性を設計プロセスの一部として統合することに焦点を当てた学際的な建築設計スタジオ、マーゴット・クラソジェビッチアーキテクツを開設。現在アジアでプロジェクトに取り組んでおり、建物のサービスインフラストラクチャの一部として再生可能エネルギーを統合および利用している。米国ルイジアナ州の「Self-Excavation Hurricane House」が2018年 LEAFアワードの"ベストフューチャービルディング、建設中および製図板部門で受賞。その他受賞暦に2020年のGOLD WANアワードなどがある。「水力電気の家」のデザインは、2019年9月5日にベルリンにオープンしたザ・フューチャリズム (The Futurium)に常設展示されている。


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