都市における心の休息地

アルバニア、ティラナ中心部のミスリム通りに位置する「Ndarja」は住宅、ホテル、オフィス、商業施設が一体となった多目的ビル。OODAの設計したこの建物は新旧が交錯するティラナの街並みに調和しつつ、都市形態の進化に適応している。また、周囲を取り囲む豊かな植栽と反射する水面が構造物の堅牢さを和らげ、建築に「呼吸」をもたらしている。

adf-web-magazine-ndarja-building-9

Render Square View
Photo credit: Plomp

Ndarja:都市生活にひと息つくための空間

「Ndarja」の二つの類似した分断されたボリュームは、その狭い側面が揃えられ、建物内に訪問者を招く広場を生み出している。この広場は人々が都市の絶え間ないペースから離れ、リフレッシュできる「聖域」として機能している。建築の特徴的な「分断」は回転を伴うデザインによって達成され、都市空間の再定義を促す。また、街路と建物との流動的な接続を可能にしている。中央に配置された透明な水鏡が自然光を地下に取り込み、外部と内部を結びつけ、オープンな空間は周辺の街路、広場、バルコニーガーデンの緑と一体化し、地域に快適な微気候を生み出している。広場は単なる通過地点ではなく本物の「都市のオアシス」として機能する。adf-web-magazine-ndarja-building-10

adf-web-magazine-ndarja-building-12

Render Street View
Photo credit: Plomp

adf-web-magazine-ndarja-building-11

Render ArialView Photo credit: Plomp

多目的空間としての設計

1階と2階は商業スペースとして設計され、通りに近接することで高い視認性を活かしている。一方、上層階には複合用途プログラムが配置され、ミスリム通りに面したボリュームには様々なタイプのアパートメントと高層階に高級ホテルが設けられ、美しい街の景観を最大限に活用している。ピタルカ通りに面したボリュームにはアパートメントとオフィススペースが配置され、それぞれの機能に応じた専用ロビーを備えている。また、ファサードはアーストーンのパレットでデザインされており、都市の視覚的な連続性に溶け込むよう配慮されている。

光と緑の調和

日差しを調整しつつプライバシーを確保するため、ブリーズソレイユや穴あき金属パネルが採用されており、バルコニーの活動が都市環境に反射して建物が都市の一部として調和する設計となっている。植栽は風や日光に耐性のある植物が選ばれ、健康的な緑地を創出。都市環境に自然を調和させる取り組みが徹底されている。adf-web-magazine-ndarja-building-8adf-web-magazine-ndarja-building-7adf-web-magazine-ndarja-building-6

OODA 

OODAは50名以上の多国籍の建築家からなるチームで、様々なスケールやプログラムのプロジェクトを手掛けている。個人住宅や大規模な集合住宅、ホテルから公共施設やマスタープランまで、現在60万平方メートル以上の建設プロジェクトを管理している。組織内では階層を排除し水平的な構造を採用。チームメンバー全員が近い距離で協力し合いながら、設計プロセスを進めている。この柔軟性とコラボレーションがOODAの革新的な設計に貢献している。