地域の特色をデザインに活かした複合施設「オディア・モントリオール」

モントリオールを代表する建築デザイン事務所Lemayが、カナダの先住民族クリーを代表する建築家 ダグラス・カーディナルとのコラボレーションでデザインした複合施設「オディア・モントリオール」が、2024年春の完成に向けて建設中である。ダウンタンの玄関口に位置する「オディア・モントリオール」は、435戸の住居と264戸の賃貸住居、171戸のコンドミニアムに加え、多様な共有施設を収容する25階建ての建物で、地域の先住民族 クリーコミュニティの象徴となるようなデザインを施した、文化的ランドマークとなる予定だ。

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Photo credit: Cogir Real Estate

クリー族とは、北アメリカの先住民族の最大部族のひとつ。ケベック州にも大きなクリーコミュニティが存在しており、先住民族の伝統と文化にインスパイアされたデザインを都市のランドスケープに融合させた本プロジェクトは、ケベックの街なみに新たなランドマークを誕生させる。

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Photo credit: Cogir Real Estate

プロジェクト名にある「オディア」は、クリー族の言語「ode=カヌー」からきている。カヌーの形に見立てたアイコニックなデザインが、ロベール=ブラッサ通りとオタワ通りの角に面して施され、モントリオールの玄関口にふさわしい存在感を放っている。将来的には、アートスタジオ、グリーンスペース、屋上プール、スカイラウンジなどの機能的な共有スペースが周辺にも建ち並ぶ予定。

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Photo credit: Cogir Real Estate

本プロジェクトは、クリー族政府の傘下組織で、ケベックのクリーコミュニティ発展のための活動を行う企業CREECOと、Cogir不動産とのパートナーシップにより実現した。クリーコミュニティとの協力により地域を活性化し、コミュニティの発展に繋げることを目指している。

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Photo credit: Cogir Real Estate

カナダの北方林を代表する樹木である白樺の断面をイメージしたデザインは、白い外壁がプロジェクトの中心となる中庭を覆い、インテリアを構成する辺材としても機能。それは時の流れを感じさせる年輪を彷彿とさせ、あたかも建物自体を一本の木に見立てているかのようである。このように、本プロジェクトの根幹には「森」や「木」という発想があり、クリーコミュニティで伝統的に利用されてきた材料を利用し、コンセプトにもそのイメージを盛り込んだ形だ。

同様に、ランドスケープ建築にもクリー文化の要素をふんだんに盛り込み、オントリオールにおけるクリーの存在感を強調している。テーマである「木」と、都市と森のコントラストが、北方林を模したランドスケープデザインに大きく影響を与えていることが分かる。

さらに、プロジェクトを進めていく上で、クリー族の環境保護の理念に基づき、健康・環境・脱炭素の3つにフォーカスしたLemay独自のアプローチ「Net PositiveTM」は欠かせなかった。本プロジェクトは、環境保護、炭素還元はもとより、ユーザーの健康やウェルビーイングも意識して遂行されている。adf-web-magazine-odea-montreal-lemay-8

Lemayについて

1957年にケベック州で創業した建築デザイン事務所のLemayは、450人以上の建築家、デザイナー、起業家などと組み、人々の関わり合いを生む空間づくりを目指すことで、世の中の変革を推し進めてきた。健康・環境・脱炭素の3つにフォーカスした独自のアプローチ「Net PositiveTM」は、より良い未来に向けたサステイナブルな結果を導くことができる、当社の強みのひとつである。