クラシカルとモダンの融合
レイゴ&バウアーデザイン事務所が「ムスコカ・コテージ」を完成した。トロントから北へ車で2時間、オンタリオ州の湖水地方の風光明媚な風景の中にあるこのコテージは、この地方の典型的なスタイルで建てられた築200年近い住居である。かつては広大なリゾートの一部であったが、徐々に取り壊され、現在のオーナーが避暑地として数十年にわたって増改築を繰り返してきた。
レイゴ&バウアーは、6,700平方メートルの建物の歴史的な魅力やオリジナルのディテールをできるだけ残し、復元する一方で、一家の現代的な美的嗜好を反映した個性的な空間にするという依頼を受けた。繊細かつインパクトのあるリノベーションにより、伝統的な板葺き屋根のコテージのインテリアをモダンにし、既存の建築と対照的でありながら、クライアントのポップ・アートやウォーホルズなどの印象的なコレクションを引き立てるような、大胆で遊び心のある家具がセレクトされた。
内装を覆うオリジナルのウエスタンレッドシダー・パネルの上にレイヤーを重ねるように、コンテンポラリーな要素が慎重に追加された。建築的な介入は黒と白の鮮明なパレットに限定され、アクセントとなる色彩は控えめに、しかしダイナミックに取り入れられた。
玄関に入るとすぐにわかるのだが、真っ白な収納ユニットとブルーのクッションベンチが、玄関横の板張りのクローゼットの代わりに設置されている。同様にキッチンでも、キャビネットとステンレス・スチールのサーフェス、そして電化製品が、羽目板と並置され、また明確に分離されるように配置されている。特注のユニットは、中央の島を囲むようにL字型に配置され、天板は一端が伸びてブレックファスト・バーとなり、その下は微妙にカーブしている。
バスルームの洗面台は、杉の壁の前にアート作品のように巧みに吊るされ、粉体塗装のスチールフレームに鏡と大理石のタイルをはめ込み、配管を収納している。シャワーも同様に黒で縁取りされ、丁寧にはめ込まれ、六角形のタイルで模様がつけられている。
家中の家具は再びアートピースのように扱われ、色の閃き、さまざまなテクスチャー、驚くようなスケールの組み合わせによって、それぞれの部屋に個性を与えている。巨大なドーム型のペンダントライトは、キッチン、ダイニングエリア、廊下の間に連続性を生み出し、リビングルームに置かれた特大のアングルポイズ・ランプは、キッチンを見通すときの視点をゆがませる。
玄関脇の二色ガラスのガラス瓶や、リビングルームのピクセル化されたコンソールの色合いは、アクセントピローやコーヒーテーブルの本、その他の布張りのアイテムに取り入れられている。コテージの6つのベッドルームも同じように、カラフルなテキスタイルや遊び心のあるランプを使い、どのスペースも寒すぎたり深刻になりすぎたりしないように配慮されている。
白いペンキを塗り直したことで、網戸のある裏のベランダは、水辺の景色を生かした明るく風通しのよい部屋に生まれ変わった。パオラ・レンティのブルーの屋外用ロープラグで仕切られた狭いスペースには、大人用と子供用のシーティングエリアがあり、丈夫で快適な屋外用家具が置かれている。
湖の桟橋のシェルターには、収納や調理器具、テレビまで収納できる特注のユニットが組み込まれている。特に春の洪水が避けられない場合、水害に耐えられるよう細部まで精巧に作られた各ユニットは、すべて粉体塗装されたアルミニウムでできており、悪天候を想定してすぐにカバーをかけられるよう、周囲には桟橋が設置されている。
プロジェクト全体を通して、レイゴ&バウアーの軽妙なタッチが生み出したモダンと伝統の間の思いがけない調和は、古いものを讃える一方で、新しいものへの感謝を呼び起こす結果となった。
レイゴ&バウアー
2005年にメリケとスティーブン・バウアーによって設立されて以来、レイゴ&バウアーは主に住宅部門を中心に、新築や意欲的な改築を含む現代建築とインテリアの幅広いポートフォリオを展開してきた。同社の驚くほどモダンな作品は、伝統的な建築様式を深く理解した上で進化させたもので、古典的なフォルムを巧みに再解釈した彫刻的なマスキングが施されていることが多い。その結果、開放的でありながら明確な内部空間が生まれ、向こう側の空間の連続性を理解することができる。