上海「朱雀設計集団」による、ドイツ モダニズム建築の機能性と美学を継承したデザイン
ヨーロッパで最も有名なホテルグループの一つである「ドイチェ・ホスピタリティ」が手掛ける「インターシティホテル」は、世界主要都市の大きな地下鉄駅や交通の要所で見かけるビジネスホテルブランドである。既にヨーロッパで多くのホテルを展開している当社は、中国への進出に意欲的である。今回の深圳のホテルオープンにより、さらにその動きを加速させ、アジアも含めたブランドの普及に繋げる狙いだ。
インターシティホテルが中国の多忙な都市に進出するには、中国の集中的で煩雑なビジネスフローに対応し、そのめまぐるしいビジネススタイルに適応する必要がある。ドイツブランドであるがゆえに、文化や地理的な違いを考慮した、単純なコンセプト変更にとどまらず、生活習慣の違いをつぶさに「翻訳」する必要があった。今回、この複雑な「翻訳」を任されたのは、中国国内で多くのホテルデザインを手掛けている、上海の建築デザインスタジオ「朱雀設計集団」である。
「エクストリーム・ビジネス」を実現するホテル
インターシティホテルが目指すのは、ビジネス機能を最大限に発揮する、まさに「エクストリーム・ビジネス」を実現するホテルである。
ビジネスパーソンにとって最も重要な「時間」。すべてのリンクを効率よく完了させることが、スムースなビジネストラベルに繋がる。視覚的に「時間」が保証されている感覚があると、ビジネストラベラーは安心する。冷たいトーンの色味は排除し、温かみのある茶色を基調とした色で、旅で疲れた心を優しく包み込む。
20世紀のモダニズム建築を代表するドイツの建築家、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエが提唱した「Less is More(少ないほど豊である)」。インターシティホテルはこの美意識のDNAを継承するデザインで、実用的な機能性とエレガントなドイツの美学を完璧に体現している。
会議室には、重厚でありながらも優しさも感じられるデザインのカバーリングを採用。よくある会議室の風景を一味違うものへと変身させ、ビジネス活動の効率化を図る。
プライベート空間となる客室は、洗面ゾーンから休憩・娯楽ゾーン、そしてワークゾーンへと繋がる、極めて機能的な造り。旅における快適さはビジネスパーソンだけでなく、あらゆる旅行者が優先するポイントである。利用客に安らぎを与え、翌日に向けてリフレッシュしてもらうために、細部にまでこだわり、きめの細かい完璧な設計を追求している。
「エクストリーム・ビジネス」の実現を目指すインターシティホテルだが、官能的な感覚と寛容さを採り込んだデザインを心掛けることで、安らぎの空間を実現している。不要なものは極力排除してシンプルにすることで、あらゆるビジネストラベラーの防御鎧をそっと外し、最も必要な心身の安らぎを提供するのである。
朱雀設計集団について
Vermilion Zhou Design Group(朱雀設計集団)は、2002年にクアン・ミン(レイ)・チュウ (創設者/ クリエイティブディレクター)とヴェラ・チュウ (創設者 / 照明デザインディレクター)によって上海に設立された建築デザイン事務所。2009年にガービン・フン(インテリア・デザイン・ディレクター)が加わり、アジア太平洋地域で800を超えるプロジェクトを完成させている。公共空間、住宅空間、ホテル、オフィス、レストランなどの商業空間など、さまざまなクライアントにサービスを提供している。建築、インテリアデザイン、照明、グラフィックアート、プロダクトデザインなど多様なバックグラウンドを持つクリエイターが所属し、その異なる視点と専門知識を組み合わせて、プロジェクトごとに機能性と美意識の絶妙なバランスを生み出している。