ポーラ美術館にて丸山直文の個展が開催。会場構成は建築家・青木淳

ポーラ美術館のアトリウム ギャラリーにて、HIRAKU Project Vol.14 丸山直文「水を蹴るー仙石原ー」展が開幕し、2023年7月2日(日)まで開催される。本展では、当館の位置する箱根・仙石原の地をテーマに、周囲に広がる豊かな森の取材から生まれた新作2点、ならびに初公開作品2点を含む6点の作品を、建築家・青木淳による特別な空間の中で鑑賞することができる。

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左)《水を蹴る(この間に)》 2022年 作家蔵 │ 右)《水を蹴る(しかしやがて)》 2022年 タグチアートコレクション Photo by Ken KATO

タイトル「「水を蹴る―仙石原―」

水たまりを蹴り上げると、水面に映った静寂な世界が崩れてしまうように、私たちの足場がいかに不安定で、見知った世界が一変してしまう可能性と常に隣り合わせであるか。震災、気候変動やパンデミックを経験した私たちは、その事実を改めて目の当たりにした。本展のタイトルには、世界の、あるいは私たち自身の不確かさに対する丸山の意識が顕れている。

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「水を蹴るー仙石原ー」展示風景 Photo by Ken KATO

新作の展示

制作の過程においては「水」が極めて重要な役割を担いながら、丸山が水を意図的に絵画に描き始めたのは近年のこと。水面を描いた作品群に加えて、本展ではこの箱根・仙石原の地をテーマに、当館を取り囲む豊かなヒメシャラの森の取材から生まれた新作を展示している。

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《水を蹴る・仙石原(あたりに)》 2023年 作家蔵 Photo by Ken KATO

建築家・青木淳が手掛ける空間デザイン

展覧会の会場構成は、丸山と親交の深い建築家・青木淳が担当した。青木は、丸山の絵画からインスピレーションを得て、重ね合わせた布によるモアレを水面に見立てた空間を構想した。壁一面を覆いつくす半透明の布は、展示空間に水面の反射のような光と、やわらかな揺らぎを生み出し、ギャラリーの内側から私たちを誘い込むかのようだ。作家にとって初の試みとなる建築家との協働を通じて、丸山作品の新たな魅力に迫る。

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「水を蹴るー仙石原ー」展示風景 Photo by Ken KATO

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会場構成より:重ね合わせた布によるモアレ Photo by Ken KATO

HIRAKU Projectについて

美術の表現と美術館の可能性を「ひらく」ため、ポーラ美術振興財団の助成を受けた作家の活動を紹介する展覧会シリーズ。ポーラ美術館開館15周年にあたる2017年より開始。同年に新設された、ポーラ美術館「アトリウム ギャラリー」にて開催。丸山直文展は第14回目となる。

丸山直文(まるやま・なおふみ)プロフィール

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Copyright the Artist. Courtesy of ShugoArts. Photo by Shigeo Muto

1964年新潟県生まれ、東京都在住。1990年代以降の日本の重要なペインターの一人として第一線で活躍を続ける。2008年芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。武蔵野美術大学造形学部油絵学科特任教授。主な展覧会に「水を蹴る」シュウゴアーツ(東京、2022)、「流」ウソンギャラリー(大邱、2017)、「GROUND2 絵画を語る−⾒⽅を語る」武蔵野美術⼤学美術館図書館 (東京、2016)、「ニイガタ・クリエーション」(新潟、2014)、「浮舟」豊田市美術館 (愛知、2011)、「丸山直文–後ろの正面」目黒区美術館 (東京2008)など。2023年元旦には、最新作が日本経済新聞の紙面を飾った。

HIRAKU Project Vol.14 丸山直文「水を蹴るー仙石原ー」開催概要

会期2023年1月28日(土)~ 7月2日(日)
会場ポーラ美術館 アトリウムギャラリー
特設サイトhttps://bit.ly/3x9W5H5