イタリア人構造家・建築家 ピエール・ルイージ・ネルヴィの展覧会がモントリオールのUQAMデザインセンターにて開催

モントリオールにあるUQAMデザインセンターにて、20世紀を代表する構造家であり建築家である、ピエール・ルイージ・ネルヴィの作品を紹介し、その軌跡を辿る展示会が開催される。2021年11月24日から2022年2月6日の開催期間中には、『Beauty’s Rigor, Patterns of Production in the Work of Pier Luigi Nervi』の著者、トーマス・レスリー教授によるオンラインレクチャーや、建築家・エンジニア対象の学会、ネルヴィ作品の保存に関する会議など、さまざまなイベントが予定されている。

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Pier Luigi Nervi, Italian Embassy, Brasilia, Pillars of the ground floor, 1969, Photo credit: Photo by Mario Carrieri, courtesy Pier Luigi Nervi Project, Brussels

モダンデザイン分野の歴史理論的骨格を築いた歴史家のニコラウス・ぺヴズナーをして「現代の鉄筋コンクリートにおける最高のアーティスト」と言わしめたネルヴィ。日本の建築家 丹下健三にも影響を与えたネルヴィは、美しい造形を設計することで知られており、鉄筋コンクリートを当時の主要な構造材料とすることに成功した人物である。手掛けた建造物は世界中に存在し、それらは第二次世界大戦後のイタリアにおける工学の目覚ましい発展を象徴している。ネルヴィがデザインしたアイコニックな建物は、ローマオリンピックのために建てられた体育館、パラツェット・デッロ・スポルト(1958年)に始まり、トリノ労働会館(1960年)や建築家ジオ・ポンティと共作したミラノのピレリビル(1960年)など、戦後復興期の国際的な建築潮流に大きな影響を与えたものばかりである。

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Pier Luigi Nervi, Small Sports Complex, Rome, Detail of the ceiling, 1956, Photo credit: Photo by Mario Carrieri, courtesy Pier Luigi Nervi Project, Brussels

「ピエール・ルイージ・ネルヴィ:デザイン/構造の匠」と題した展示会は、2つの展示エリアに分かれている。ひとつは、2010年ブリュッセルでスタートした巡回展「ピエール・ルイージ・ネルヴィ – Architecture as Challenge(挑戦する建築家)」の改作版の展示。1920年から1970年代までのネルヴィのエンジニアとしてのキャリアを振り返る内容となっている。多くの研究者が携わり行った多角的な研究の成果として、ネルヴィの多様な功績を紹介することに成功している。ネルヴィの文化的かつ科学的探究心から生み出された革新的な建造技術が、戦後のイタリア、そして国際社会や政治の発展にいかに強い影響を及ぼしたかが、歴史のフレスコ画のように表現されている。

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Pier Luigi Nervi, C Hall of Turin Exhibition Centre, Turin, View of the interior, 1949, Photo credit: Photo by Mario Carrieri, courtesy Pier Luigi Nervi Project, Brussels

もうひとつのエリアは、UQAM(ケベック大学モントリオール校)デザイン学部の教授らのキュレーションによる「Sitstema Nervi」という展示で、あまり知られていないネルヴィの実験的プロジェクト5件を紹介する。これらはどれも、ネルヴィの功績を語るにおいて最も重要な3要素「素材」「型」「複写」を用いて構築されたプロジェクトである。この3要素の融合は、のちに複合材料である「フェロセメント」を生み出すことになる。フェロセメントの活用は、ネルヴィを「tavellone」(ネルヴィの美しいシェルやドームを構築する際の型枠となったもの)の開発へと導き、鉄筋コンクリートの発展に大きく貢献したのである。当時を振り返る歴史的な写真と、UQAMの学生による模型、そして5つのプロジェクトの分析が、ネルヴィの型にはまらない、デザインへの独特なアプローチを強調する内容となっている。

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Pier Luigi Nervi, Palazzo del Lavoro, Turin, Detail of a pillar, 1959, Photo credit: Photo by Mario Carrieri, courtesy Pier Luigi Nervi Project, Brussels

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Pier Luigi Nervi, Municipal Stadium, Florence, The structure of one of the Orbetello Hangars under construction, Photo credit: Photographer unknown, ca.1939, courtesy Pier Luigi Nervi Project, Brussels

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Pier Luigi Nervi, UNESCO Headquarters in Paris Drawing of the longitudinal section showing the deformation pattern of the structure for vertical loads, Plan of the roof, 1953, Photo credit: Courtesy MAXXI, Archivio Pier Luigi Nervi, Rome

UQAM Centre de Designについて

UCAM Centre de Designは、UCAM School of Designの教授らによって設立され、建築、ファッション、グラフィック、インダストリアル、アーバンデザインの分野におけるトレンドや歴史を描写する展示を行っている。1981年の設立以来、350の展示会を開催し、ローカルだけでなく国際的なデザイン文化の発展に貢献してきた。また、ケベックデザインの普及を目的とした巡回展を10カ国以上で開催している。

「Pier Luigi Nervi: Master Designer-Builder」開催概要

会期2021年11月24日~2022年2月6日(水~日曜日のみ)
時間水~日 12:00~6:00pm
会場Centre de design de l’UQAM

sdgs