近年の事例を紹介
CAWアーキテクツ(CAW)は、数十年にわたり、受賞歴のあるデザインポートフォリオをもってカリフォルニアの教育改革をリードしている。現在までに同社はベイエリア初のLEEDプラチナK-12公立校舎2棟、オークランドの総合公立高校のネット・ゼロ・エネルギー基本計画、カーボンニュートラルと100%再生可能エネルギーの利用を目標に掲げたスタンフォード大学の大幅なキャンパス再生などを設計している。生徒の成績向上と建築環境の環境的質との間に明確な関連性があることは長らく立証されてきた。
バークレー・コミュニティ・シアター
バークレー高校のA棟には、3500席のコミュニティシアターと560席のフローレンス・シュウィムレー・シアターがあり、さらに同校の主要なビジュアル&パフォーミング・アーツ・プログラムの教室とサポート・スペースがある。しかし、内部は数十年にわたりほとんど改修されることなく使用されてきたため、老朽化が著しく、狭い教室スペースと特大のコミュニティ・シアターは、生徒や教職員、周辺コミュニティに向けて活用されてこなかった。そこでCAWアーキテクツはまず、舞台芸術やテクニカルステージクラフトを学ぶ学生や地域住民にとって、活気があり、安全で利用しやすい環境に戻すため、劇場棟の長期的な改修計画を立てる計画調査を実施した。
- Berkeley Community Theater Photo credit: Marco Zecchin
- Berkeley Community Theater Photo credit: Marco Zecchin
その後、建物の基本的な欠陥だけでなく、盛んな舞台芸術プログラムの将来のニーズにも対応する設計ソリューションを開発。課題として、既存の建物外皮の中で利用可能なスペースを拡大し、柔軟に使用できるように設計すること、音楽、演劇、ダンス、テクニカルステージクラフトプログラムのための新しい教室とリハーサルスペースを作ること、2つのパフォーマンススペースの機能を向上させ、パフォーマー、テクニシャン、観客により良いサービスを提供すること、建物の正面玄関を盛り上げることで、高校キャンパスにおける建物の存在感を高めることなどが挙げられた。現在はフローレンス・シュウィムリー・シアターの改修と、A棟の近代化を完成させるため公共エントランスの再構築に焦点を当てた、次の開発段階に着手している。
モントレー高校サイエンス・イノベーション・センター
モントレー湾の素晴らしい眺望を生かし戦略的に配置された、2階建て12,500平方メートルの新キャンパスは、急勾配の敷地の上部と下部の両方に屋外広場を統合し、屋外学習スペースを提供している。その控えめな規模にもかかわらず、この増築は集会スペースや回遊スペースに大きな影響を与え、急勾配を移動するためのスロープや室内エレベーターを導入している。さらに、建物はサッカー場と海を見渡せるユニークな位置にあり、印象的な存在感を醸し出している。
- Monterey High School Science Innovation Center Photo credit: Bruce Damonte
- Monterey High School Science Innovation Center Photo credit: Bruce Damonte
シルバークリーク高校
本プロジェクトでは、街角に新しい特徴的な建物を増築、キャンパスへの新しい正面玄関を設置するデザインが採用された。この建物は通りに面した側がより堅固になっており、遊び心のある窓のパターンと穴のあいた日除けがキャンパス・エッジを形成している。キャンパスに面する側には幅40フィート(約12メートル)の引き戸があり、建物のアトリウムを屋内外の教育やイベントのための新しい広場に開いている。中央の特徴的な階段は各階を優雅に繋ぎ、10教室すべてがアトリウムに面し、教室をアトリウムに開く大きなガレージドアがある。アトリウムを囲む窓は自然光を建物の奥深くまで取り込み、直接のまぶしさもカットしている。新しい教室に加え、このプロジェクトでは学生のための屋内外のカジュアルスペースが多数追加され、キャンパスの端のセキュリティも改善された。
コルテ・マデラ・スクール
コルテ・マデラ・スクールは2エーカー(約8,000平方メートル)の敷地に2棟の校舎を建設した。エネルギー効率は全面的にアップグレードしたシステムにより、同校の環境フットプリントは大幅に削減され、LEEDシルバー認証の取得も視野に入っている。
- Corte Madera School Photo credit: Marco Zecchin
- Corte Madera School Photo credit: Marco Zecchin
オーモンデール小学校
オーモンデール小学校の新キャンパスは、持続可能性とダイナミックな学習を推し進める建築となっている。校舎には美術、音楽、科学、「STEAMラボ」のための近代的な教室を備え、改装された中庭は、周囲の花や果樹の香りや色彩が五感を刺激するインタラクティブな「感覚ガーデン」に生まれ変わった。建物は自然光と眺望を最大限に生かせるよう戦略的に配置され、幼稚園児から3年生までの生徒にとって落ち着いた環境を作り出している。エネルギー効率の高いシステムとソーラー設計は、LEEDシルバー認証を目指し、革新性と持続可能性を融合させ、活気ある学習空間を育んでいる。
- Ormondale Elementary School Photo credit: Marco Zecchin
- Ormondale Elementary School Photo credit: Marco Zecchin
CAWアーキテクツ
本事務所では美しくデザインされたプロジェクトを通じて、世界をより良く変えていくことを目指している。社会変革のエージェントとしての建築へのコミットメントは、教育やコミュニティベースのプロジェクトを支持し、受賞歴のある作品群を見れば明らかである。優れたキャンパス、活気ある繁華街、風格のある近隣に新しい建物を設計する場合も、慎重な修復が必要な歴史的建造物を再利用する場合も、建物に新たな息吹を与え、エネルギーと経済的活力を吹き込んでいる。