一本の木が家具となり建築となるプロセスを魅せる
銀座の商業施設「GINZA SIX」が2025年春より手がける、3年間にわたる吉野杉を主役に据えたアートプロジェクト「A Tree(エイ・ツリー)」の第2フェーズが10月31日(金)より開始される。国内外で活躍する6名のアーティストが実際に吉野地方を訪れ制作したプロダクトが2026年にかけて順次展開される。
本プロジェクトは、様々な空間デザインを手がけ、また、都市に存在するVOID(遊休施設や社会的隙間)を時限的に占有し一般へ解放する運動「SKWAT(スクワット)」など新たなカルチャーを生み出す活動でも注目される、中村圭佑率いる設計事務所DAIKEI MILLSとの協業。ものづくりの原点に本質的な価値を見出し、国内外のアーティストにより「一本の木が家具となり建築となる」そのプロセスを多角的に魅せる取り組みとなっている。

中村圭佑/DAIKEI MILLS
本プロジェクトの公式サイトには、本プロジェクトの主役である吉野杉の伐採から製材の様子を撮影した映像および中村のインタビュー記事なども公開されている。
展示内容の作家と作品
- 第一弾(2025年10月31日(金)~)
Siin Siin(シーン・シーン) /日本
東京を拠点に活動するデザイナー。家具をはじめ少量生産のオブジェクトや、オブジェクトのコンポジションとしての空間設計、多様な分野とのコミッションワークを手がける。対象や環境への観察を起点に、素材、技術、場、他者との関係に現れるズレや痕跡に注目し、それらをかたちとして構成することで、ものや空間の成り立ちを問い直している。また、制作の過程や作る行為そのものをデザインの一部として捉え、そこに現れる不安定さや即興性を積極的に引き受ける実践を行っている。
- ※画像はイメージです
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KUO DUO(クオ・デュオ) /韓国
ソウルを拠点とするインダストリアルデザインスタジオで、プロダクト、家具、空間デザインに加え、クリエイティブディレクションも手がける。イ・ファチャン(左)とメン・ユミン(右)は、ソウルの弘益大学でインダストリアルデザインを学んだ後にスタジオを設立し、Cecilie Manz Studio、Form Us With Love、Shigeki Fujishiro Design、SWNA といった国際的なスタジオでの経験を経て、制作に取り組む。量産可能なプロダクトから、リミテッドエディション、展示空間まで幅広く手がけ、素材や生産技術への新たなアプローチと、機能性・簡潔さとのバランスを探求している。さまざまなブランドやクライアントと協業し、立体的なデザインの可能性を広げる彼らは、2025年のメゾン・エ・オブジェで「Rising Talent Award」を受賞した。
- ※画像はイメージです
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- 第二弾(2025年冬~)
Rio Kobayashi(リオ・コバヤシ) /英国
日本・栃木県出身、ロンドン在住のデザイナー/メイカー。幼少期から家具づくりに親しみ、18歳でオーストリアに移住。3年間にわたる厳格なキャビネットメイキングの徒弟制度を経て、独自の多文化的なデザイン言語を確立した。2017年にロンドン東部に自身のスタジオを設立し、素材、物語性、形状の探求を通じて作品の幅を広げている。家具からインテリア、彫刻的オブジェクトまで手がけ、伝統と革新、抑制と遊び心の対話を反映した作品は、ロンドン・デザイン・フェスティバルやミラノ・デザイン・ウィークで発表され、Financial Times、Wallpaper、The World of Interiors、Forbesといった国際メディアでも取り上げられている。日本の職人文化をベースに、現代的なデザインの可能性を描き出している。
Fabien Cappello(ファビアン・カッペッロ) / メキシコ
メキシコ・グアダラハラを拠点に、家具やプロダクトを手がけるデザインスタジオを主宰。限定品・量産品の両方を含むプロダクトや、公共・私的空間向けのデザインにおいて、繊細で適切な素材選びを重視している。ファビアンは、デザインを通して自身のビジョンや戦略を具現化。代表作には「Sillas Callejeras」や「Objetos de Resistencia」などがあり、メキシコの素材文化に関するリサーチプロジェクトも手がけている。世界的なデザイン思考において重要な存在となっている。
- 第三弾(2026年春~)
Max Lamb(マックス・ラム) / 英国
1980年生まれ。英国コーンウォール生まれ。家具やプロダクトデザインにおいて、その革新性と実験的な手法で広く評価されているデザイナー。伝統的な職人技と前衛的なデザイン哲学を融合させ、自然に囲まれて育った経験が作品にも色濃く反映されている。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで学んだ後、独自のデザイン手法で注目を集め、素材とプロセスの可能性を探求し続けている。石や金属、発泡材、段ボールなど、あらゆる素材を用いて、素材本来の性質を引き出す作品を制作。生まれる作品は、触覚的で力強く、機能性と芸術性が融合したユニークな存在感を放つ。
Faye Toogood(フェイ・トゥーグッド) / 英国
英国人デザイナー。インテリアやホームウェア、美術、ファッションを中心に、ジャンルやスタイルにとらわれない多彩な表現を行う。ブリストル大学で美術史を学び、雑誌編集者を経て2008年にロンドンでスタジオ「Toogood」を設立。田園地帯で育った背景から、風景や自然物からのインスピレーションが色濃く反映されており、干し草や頭蓋骨、空模様をモチーフにした作品も多い。代表作の「Spade」チェアや「Roly-Poly」チェアは彫刻的なフォルムで広く知られている。ジャンルを越えた協働から生まれる詩的で前衛的な作品を世に送り出している。
DAIKEI MILLS
2011年に中村圭佑により設立された、東京を拠点に活動する設計事務所。CIBONE、ISSEY MIYAKE、NOT A HOTEL、LEMAIREなどの商業空間からavex、kontakt、Takramなどのクリエイティブ企業のオフィスまでさまざまなプロジェクトに取り組み、人と空間の在り方について一貫してデザインの実践を通して考え続けている。
GINZA SIX「A Tree」第2フェーズ展示概要
| 会期 | 2025年10月31日(金)より順次展示(予定) |
| 会場 | GINZA SIX 3F~5F 中央吹き抜け周りレストスペース |
| URL | https://ginza6.tokyo/atree/ |

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