アルプスの眺望が楽しめる木造建築をシュヴァリエ・アーキテクツがデザイン

スイスなどのアルプス地方で見られる伝統的な木造建築「raccard」は、高床式の構造が特徴的な穀倉として知られている。このたびフランスの建築デザイン事務所 シャヴァリエ・アーキテクツは、raccardのような山小屋「Caraccard」を、フランスの名峰 モンブランの絶景が望める最高の立地に建設した。

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Photo credit: Laurent Cousin

別荘としてではなく、年間の大部分において稼働する前提で建てられた山小屋には、あらゆる用途に対応できる柔軟性と実用性が求められた。全てのエリアへの日の当たり方とそれに対応する景色を考慮したデザインは、息をのむ360°の絶景と、住居エリアへの充分な採光を実現している。

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Photo credit: Laurent Cousin

Caraccardのデザインの特徴は、穀倉特有のねずみ返しのようなオーバーハング状の外壁と、コーベル(壁から突き出した構造物で、その上に張り出した重量を支持する受け材)、そしてキューブが積み重なったような構造である。カラマツ材を使用した外壁は、特徴的な外観に沿って連続性のあるクラッディングを施すためにカスタムデザインされた。「箱」が不規則に積み重なった構造は、外壁だけでなく、レイアウトやネットワーク配線などにも特別の配慮を要したため、3Dレンダリングが用いられた。

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Photo credit: Laurent Cousin

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Photo credit: Laurent Cousin

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Photo credit: Solène Renault

このプロジェクトを完結する必要不可欠な要素である大きな出窓は、現地への配送と設置に異次元の配慮が必要となった。専用の機械や道具が出動する大がかりな工程となり、まさにこのプロジェクトのハイライトとなったのである。

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Photo credit: Laurent Cousin

シャヴェリエ・アーキテクツについて

シャヴェリエ・アーキテクツは、フランス モンブランの麓にある登山とスキーのリゾート地「シャモニー」を拠点に、3代にわたり事業を展開してきた建築デザイン事務所。建築をアートとみなし、革新的なアイデアでユニークなプロジェクトを手掛けてきた。環境に配慮しながら、光、木、金属、ガラスなど様々な素材を融合させて、独特の世界観を作り上げている。個人宅、集合住宅、ホテル、公共施設、産業施設など、事業展開は多岐にわたる。