古代中国陶磁器を静かに引き立てる「有」と「無」の美学
中国・杭州に誕生した「Rose Gallery(ローズギャラリー)」は、古代中国陶磁器を専門に扱うアートギャラリーであり、その展示空間の建築・インテリア設計を WJ STUDIO が手がけた。ギャラリーの核となるコンセプトは、老子の哲学「有」と「無」に着想を得たもの。すなわち、器物は「有」、それを包む空間は「無」と捉え、「無」の余白が「有」の本質を引き立てるという思想が空間全体に貫かれている。
建築構成は“屋中の屋(house within a house)”の概念に基づいている。釉薬を施さない素焼きの器のように、純粋でミニマルな空間が、展示される陶磁器に呼吸と拡がりを与える。中国伝統建築の層状空間の構成がさりげなく反映され、梁と柱が明快に現れた構造によって、単なるコンクリートの箱が、静けさと時間の厚みを湛える「屋中の屋」へと変貌する。
- ©Yida
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次に、光と影の演出も繊細に計算されている。直射光ではなく、柔らかく拡散した自然光が器物を包み、まるで木格子を通して差し込む古い時代の光のように、あたたかく落ち着いた空気をつくる。時間の経過とともに、建盞の虹彩や陶磁の風化した釉の美しさが浮かび上がり、現代の鑑賞者に過去と接続する感覚をもたらす。
- ©WJ STUDIO
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- ©Rose Gallery
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そして何よりこのギャラリーでは「一器一世界(One object, one world)」という姿勢が貫かれている。来場者は賑やかな陳列を巡るのではなく、静かに腰を据え、布で包まれた器を一つひとつ手でほどきながら鑑賞する。汝窯の天青釉に浮かぶ雲影や、建盞の窯変に映る宇宙のような揺らぎ。それらとの親密な対話は、「以小見大(小にして大を観る)」という中国文人美学の体現でもある。空間はその形を支える器、光と影は色を描く筆、器物は意味を宿す心。その一つひとつが本来あるべき場所に置かれたとき、その器は美しさを放ち始める。
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WJ STUDIO
WJ STUDIO は胡之楽(Hu Zhile)を中心に設立された中国のデザインスタジオ。設計を「思考の手段」と捉え、建築やインテリアを超えて文化・内容・体験を統合する空間づくりを目指している。自社のリサーチ部門「PRO-LAB」を通じ、他分野の専門家・研究者とのコラボレーションを通じて、革新的な空間表現を生み出している。近年は Andrew Martin International Interior Design Awards、World Architecture Festival、LIV Hospitality Design Awards、Architizer A+ Awards など、数々の国際アワードも受賞。

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