ヤシの木から着想を得た「マザー・ツリー」
クシュナー・スタジオによる新築住宅「213サード・アベニュー」は、ニューヨーク・ブルックリンの近年新たに区画整理されたゴワナスに建つ14階建ての「マザー・ツリー」として構想されたプロジェクトである。目に留まりやすいコーナーに位置するこの建物は、裏庭や近隣に根ざした小売店のテナントを通じて、コミュニティの成長を促すことを目指している。
この建物はオーナー兼開発者のルーツであるカリブ海に由来するもので、ヤシの木をイメージしている。ヤシの木は原産地では当たり前のように目にするが、この住宅では高さ2階建ての3Dプリンターで作られた商業施設の出入り口や、その根元に見られるユニークな葉のパターンをデザインに模した店舗など、ユニークな1階部分を含む複数個所で採り入れられている。ちなみに高層ビルに3Dプリントされたパーツが組み込まれるのは、これがアメリカ初となる。
このビルには、1LDK、2LDK、3LDKからなる81戸の住宅が建設され、そのうち25%が混合所得者向け住宅となる。約370平方メートルの店舗テナント、10台分のガレージ、共有の裏庭がある。また、全テナントが利用できる多目的レクリエーション・スペースや、地下にあるテナント専用のトランクルームも用意される。
モックアップは幅約1.5メートル、高さ約5.6メートルのフルゲートウェイの1/2である。出入り口とその上にバルコニーが組み込まれている。このモックアップは7つの異なるピースで構成されており、それぞれがロボット型7軸モバイル・マウント・プリンターで印刷されている。すべてのピースをニューハンプシャー州ロチェスターにあるクシュナーの施設で印刷しトラックで運搬、展示している。拡張可能な断熱を可能にするために二重壁になっており、重量は約5,443キログラムとなった。
クシュナー・スタジオ
ニューヨークの建築・デザイン事務所。1994年の設立以来、本スタジオは規模・規模ともに多様なプロジェクトを設計・施工してきた。コンセプチュアルなものから都市計画的なものまで、継続的なプロジェクト・ポートフォリオを展開している。