企業理念と持続可能な社会の実現をアートで提言

ガラスアーティスト西中千人が創業150年の老舗蔵元清水清三郎商店の新社屋に 資源循環アート「天岩戸(あまのいわと)」を創設した。同社の人気酒「作(ZAKU)」の廃瓶と使用済み太陽光発電パネルの再資源化ガラスから創作された壁面アート作品「天岩戸」(100x100cm)が新社屋のエントランスホールに設置され、2022年5月3日から6日まで披露された。

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「天岩戸」は太陽の女神・天照大神の鎮座する伊勢の国で醸される清酒の瓶と太陽光パネルの両ガラス材料に共通するメッセージ「太陽・再生・永遠の循環」がコンセプト。天照大神が身を隠した岩戸を緑、黒色の「作」の廃瓶で、天照大神が扉を開けて漏れた光を使用済み太陽光パネルから再資源化した無色透明のガラスで表し、新しい夜明けの物語を表現した。

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海外20カ国のバイヤーや国内取引先へ酒蔵のアイデンティティの発信拠点となる清水清三郎商店 新社屋

2階アートギャラリーには、「発酵」を設置。太陽と水が大地に米を育み、人間の叡智によって微生物が清酒を醸す酒造りのストーリーを西中の代表作「ガラス呼継(よびつぎ)」のスタイルで創作した。

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呼継「発酵」40x23xH20cm

西中は、役割を終えたガラス製品にその記憶を留めたカタチで新しい命を吹き込み、 「再生と永遠の循環」を表現する作品を創作している。その作品を通して資源循環による持続可能な社会の実現を提言し、広める活動を行っている。今回の「天岩戸」は使用済み太陽光パネル用いた大型作品の第一作目。2040年には国内だけで年間80万トンが廃棄されると試算される太陽光パネルの大部分を占めるガラスを用いている。( 後援:ガラス再資源化協議会 GRCJ 

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2012年に導入が急拡大した太陽光パネル

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廃棄された太陽光パネルから分別 洗浄 粉砕された再資源化ガラス

これまでの資源循環アート リサイクルガラス瓶をアートで未来につなぐ  

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重要文化財 日本橋高島屋1階正面 ホールに出現した、リサイクルびんから生まれたオブジェが屹立するアート空間「一瞬に煌めく永遠 ガラスアートの瞑想空間へ」(2017 年)

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京都東山 哲学の道 の名刹 「法然院」参道に恒久設置 「循環する命とつながっていく宇宙」をコンセプトとした ガラス枯山水「つながる」 (2019 年)

西中千人 / にしなかゆきと

アーティスト。1964年 和歌山市生まれ。星薬科大学 薬学部卒業。カリフォルニア美術大学で彫刻とガラスアートを学ぶ。「再生・永遠の循環」をテーマに、古の日本の美にインスパイアされたガラス表現を追求。代表作は金継の美意識を礎とした「ガラスの呼継」と宇宙と命のつながりをメッセージとしたアート空間。 近年は資源循環による持続可能サステナブルな社会の実現を提言するアート(SDGs x ART)に取り組む。ドイツ World Media Festivals 2020 金賞、サーキュラーアワード / サーキュラーエナジーアワード他受賞。呼継「悠久」がロンドン V&A 博物館に収蔵。ガラス枯山水を京都法然院に奉納。

清水清三郎商店

三重県鈴鹿市の創業150年の老舗蔵元。「作(ZAKU)」は、G7 伊勢志摩サミット乾杯酒として注目され、今や入手困難な人気酒。伝統の日本酒文化を時代や世界の多様な価値観に合わせて大きく進化させ、国外での需要拡大につなげている。2021世界酒蔵ランキング1位、IWC(イギリス)、Kura Master(フランス)、JOY OF SAKE(アメリカ)他、国内外のコンテストで毎年最高アワードを受賞。当主は6代目 清水慎一郎。