インド・ジャイプールに誕生した環境配慮型オフィス建築
ジャイプールを拠点とする建築設計事務所サンジャイ・プリ・アーキテクツはインド・ジャイプールに新しいオフィス建築「Magnus」を完成させた。プロジェクトは旧来の商業施設が並ぶ都市幹線道路沿いに位置し、このエリアでは初となる新しい建築開発である。都市文脈と厳しい気候条件の双方に応答する設計により、地域の建築的伝統を尊重しながら現代的な建築アイデンティティを提示するオフィス空間が実現した。
計画では南側にサービスエリアと動線コアを集約し、構造柱を外周に配置することで、各フロアのオフィス空間に高い自由度を確保している。低層階には比較的小規模なオフィスユニットを配置し、上層階にはより広いオフィススペースを計画することで、柔軟なワークスペース構成を可能にした。
都市に開かれたダイナミックなファサード
幹線道路に面する西側ファサードでは、建物のボリュームが前後に傾斜する二つの垂直体として構成される。互いに対照的な角度を持つこの形態により、各階に屋外デッキが生まれ、都市の喧騒から適度に守られた半屋外空間が形成される。また、傾斜するボリュームは隣接するテラス同士の視線を遮り、オフィス利用者のプライバシーを確保する役割も担う。
ラージャスターンの伝統建築に着想したスクリーン
高密度な都市環境に対応するため、建物側面にはラージャスターン地方の伝統建築に見られる石造のジャーリー(透かし格子)をモチーフとしたパンチングスクリーンを設置している。これらのスクリーンはリサイクル素材を主体とする軽量フォームコンクリートで製作され、優れた断熱性能を持つ外皮として機能する。スクリーンとガラスファサードの間には幅約3フィートの植栽帯が設けられている。この緑化ゾーンは幹線道路からの騒音を緩和するバッファーとして働くと同時に、建物外周に連続した緑の景観を生み出している。
環境性能と都市活性を両立
建物の1階にはレストランとカンファレンス施設を配置し、街路に面した都市空間を活性化する。屋上テラスにはカフェテリア、ジム、ランドスケープガーデンが設けられ、利用者のためのリクリエーションや交流の場となっており、建物は主にフライアッシュレンガとRC(鉄筋コンクリート)構造で建設され、水のリサイクルシステム、雨水利用システム、屋上の太陽光発電などのサステナブル技術を導入している。また、これらの取り組みにより、一般的なオフィス建築と比較してエンボディドカーボン(建設時のCO₂排出量)を大幅に削減している。さらに、パンチングスクリーンと奥まったテラスデッキはパッシブシェーディング装置として機能し、日射熱の侵入を抑制。これにより空調負荷を低減し、建物のライフサイクル全体における炭素排出量の削減にも貢献している。ジャイプールの高温気候への対応と地域建築の伝統からの着想を融合させた「Magnus」は、環境性能と都市文脈を両立する現代的なワークスペースの新しいモデルを提示している。
- Photo credit: Vinay Panjwani
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サンジャイ・プリ・アーキテクツ
建築家サンジャイ・プリが率いるサンジャイ・プリ・アーキテクツは、世界的に評価されるインドの建築設計事務所である。アルケロ(アムステルダム)の「世界トップ100アーキテクト」で第32位にランクインし、アーキデイリー、アーキタイザー・ニューヨーク、WA UKなどの建築メディアでも世界トップ100建築事務所の一つとして紹介されている。同事務所はこれまでに540以上のアワードを受賞し、そのうち400以上がインターナショナル建築アワードである。作品は世界200以上のメディアで2000回以上パブリッシュされている。さらにワールドアーキテクツ・スイスによる「World Building of the Year 2024」、Architizer(ニューヨーク)による「Most Sustainable Architecture Firm of the Year」、A&D Perspective(香港)による「Practice of the Year」などの栄誉を獲得している。現在、事務所には108名のプロフェッショナルが在籍し、55都市で200以上のプロジェクトが進行中である。コンテクスチュアルでサステナブルなデザインソリューションを発展させることを理念とし、革新的なフォルムと空間体験を探求する建築を展開している。

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