世界初のアンドロイドと音楽を科学するラボラトリーが大阪芸術大学に誕生
大阪芸術大学に、世界初のアンドロイドと音楽を科学するラボラトリー 「Android and Music Science Laboratory(AMSL)」が2022年4月27日(水)に誕生する。ラボラトリーの設計は内装から什器に至るまで同大学のアートサイエンス学科棟を設計した建築家・妹島和世が手掛けている。客員教授には、渋谷慶一郎に加えて、世界的なロボット工学者であり2025年大阪万博のプロデューサーを務める石黒浩や、コンピュータ音楽家・今井慎太郎らが参加する。
新ラボラトリーのオープン当日は、開所式とラボツアーやパネルディスカッション、オープニングセレモニー、渋谷慶一郎とアンドロイドによるパフォーマンスなどが行われる。
これと期を同じくして、新生アンドロイド・オルタ4も発表される。オルタ4は前身であるオルタ3の進化版であり、表情筋の可動域が増え、舌の動作が強化されたことにより豊かな表情が可能になっている。全身の強度が増し関節数は43から53に増えたことによって、よりダイナミックな表現が期待される。また、オルタ4が設置される台も妹島和世による設計となっている。
同ラボラトリーでは渋谷と今井慎太郎、石黒浩らがアンドロイドを中心としたパフォーマンスやインスタレーション作品の制作を行い、そのプロセスを学生に公開しレベルに応じて見学・参加することが可能となっている。そこでは作品のコンセプトからプロセス、フィニッシングという制作過程を実践的に開示し、作曲やプログラミングのみならず、国内外での公演実現を可能にする制作進行に参加し、学ぶことが出来るシステムとなっている。
参加メンバーのプロフィール
渋谷慶一郎
渋谷慶一郎は、1973年、東京都生まれの音楽家。東京藝術大学作曲科卒業、2002年に音楽レーベル ATAKを設立。代表作は人間不在のボーカロイド・オペラ『THE END』(2012)、アンドロイド・オペラ®『Scary Beauty』(2018)など。2020年には映画『ミッドナイトスワン』の音楽を担当、毎日映画コンクール音楽賞、日本映画批評家大賞映画音楽賞を受賞。2021年8月 東京・新国立劇場にてオペラ作品『Super Angels』を世界初演。2022年3月にはドバイ万博にてアンドロイドと仏教音楽・声明、UAE現地のオーケストラのコラボレーションによる新作アンドロイド・オペラ®︎『MIRROR』を発表。
石黒浩
ロボット工学者。1963年、滋賀県生まれ。大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻(栄誉教授)。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。遠隔操作ロボットや知能ロボットの研究開発に従事。人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究の第一人者。2011年、大阪文化賞受賞。2015年、文部科学大臣表彰受賞およびシェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム知識賞受賞。2020年、立石賞受賞。
今井慎太郎
今井慎太郎は、1974年生まれのコンピュータ音楽家。国立音楽大学およびパリのIRCAMで学び、文化庁派遣芸術家在外研修員として2002年から2003年までドイツのZKMにて研究活動を、また翌年にDAADベルリン客員芸術家としてベルリン工科大学を拠点に創作活動を行う。2008年よりバウハウス・デッサウ財団にてバウハウス舞台の音楽監督を度々務める。2015年に作品集『動きの形象』を発表。ブールジュ国際電子音楽コンクールにてレジデンス賞、ムジカ・ノヴァ国際電子音楽コンクール第1位、ZKM国際電子音楽コンクール第1位などを受賞。現在、国立音楽大学准教授および東京大学非常勤講師。
妹島和世
1956年生まれの建築家。1987年妹島和世建築設計事務所設立。1995年西沢立衛とともにSANAAを設立。2010年第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務める。日本建築学会賞*、ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞*、プリツカー賞*、芸術文化勲章オフィシエ、紫綬褒章などを受賞。主な建築作品として、金沢21世紀美術館*(金沢市)、Rolexラーニングセンター*(ローザンヌ・スイス)、ルーヴル・ランス*(ランス・フランス)などがある。*はSANAAとして